【No.950】シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(2) |鳥取県・日南町国民健康保険日南病院名誉院長 高見 徹氏|
2020.03.05

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構想日本メールマガジン【No.950】 2020.03.05 啓蟄 発行

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<目次>

【1】第256回J.I.フォーラム 3月19日(木)延期のお知らせ

【2】今後の活動予定

千葉県 君津市「君津まちづくりプロジェクト」3月7日(土)延期のお知らせ

【3】2月の主な活動報告 政策実現活動、新聞・テレビ等メディア掲載

【4】お知らせ

(1)~辰巳 琢郎氏 舞台のお知らせ~

(2)Yahoo!ニュースオーサー 記事 NEW!

(3) 一般社団法人 世界の子供たちのために「福島応援ツアー」4月4-5日 延期のお知らせ

【5】巻末寄稿文

シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(2)

鳥取県・日南町国民健康保険日南病院名誉院長   高見 徹

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【1】 第256回J.I.フォーラム 【開催延期】

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3月19日(木)開催予定の第256回J.I.フォーラム「低コスト、高満足の医療を目指して」は、今般のコロナウィルスに伴う新型肺炎感染拡大の状況に鑑み、誠に残念ではございますが、開催延期とさせていただきます。

すでにお申し込みいただいている皆さま、またご検討をいただいておりました皆さまには、大変申し訳ございません。 日程等が決まり次第、改めてお知らせいたします。

【開催延期】 第256回J.I.フォーラム

元々のご案内は下記

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第256回J.I.フォーラム  「低コスト、高満足の医療を目指して」
◯日 時:2020年 3月19日(木) 18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場:アルカディア市ヶ谷 4F 鳳凰(千代田区九段北4-2-25、TEL:03-3261-9921)
◯登壇者:(敬称略・五十音順)
松本 小牧(豊明市健康福祉部健康長寿課 課長補佐)
矢田 明子(Community Nurse Company株式会社 代表取締役)
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ご不明の点は、お問い合わせいただければと思います。
お問い合せは TEL 03-5275-5607 までお願いいたします。

なにとぞ、ご理解いただけますよう、お願い申し上げます。

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【2】今後の活動予定

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(1)千葉県 君津市「君津まちづくりプロジェクト」 延期のお知らせ

3月7日(土)に予定されていた君津まちづくりプロジェクト(第2回住民協議会)は、今般のコロナウィルスに伴う新型肺炎感染拡大の状況に鑑み、開催が延期されることとなりました。

詳細情報につきましては、君津市ホームページをご確認下さい。

▼君津市ホームページ https://www.city.kimitsu.lg.jp/soshiki/8/24788.html

ご来場いただく予定であった皆様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

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【3】2月の主な活動報告

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(1)政策実現活動

●住民協議会

2月11日  千葉県 君津市「君津まちづくりプロジェクト(住民協議会)」

2月12日  北海道 清水町「清水ミライ自分ごと化会議(4)」

※その他、首長や自治体との打ち合わせ等 7件

●研修・講演

2月 8日  徳島県 徳島市「自分ごと化会議とは〜具体的事例とQ&A」
講演タイトル【自分ごと化会議の意義と成果】(講師:総括ディレクター 伊藤)

2月26、27日 和歌山県 かつらぎ町「職員研修」
講演タイトル【事業評価で自分の仕事を見直す】(講師:総括ディレクター 伊藤)

(2)テレビ等メディア掲載

2月7日 温水プール 20年度末で廃止提案 自分ごと化会議が市に 山陽新聞

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【3】構想日本が応援している活動などに関するお知らせです。

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(1)~辰巳 琢郎氏 舞台のお知らせ~

「愛する母、マリの肖像」

◯日 程 2020年3月11日~15日
◯場 所 東京:赤坂RED/THEATER

●日 程 2020年3月27日~29日
●場 所 大阪:ABCホール

☆料 金(全席指定)前売:5,000円 当日:5,500円

時間など詳細は チラシ 表 https://www.kosonippon.org/wp-manager/documents/2019/mail/omote.jpg
チラシ 裏 https://www.kosonippon.org/wp-manager/documents/2019/mail/ura.jpg

辰巳氏、丹下氏インタビュー http://entre-news.jp/2020/02/63528.html
丹下氏、古川氏インタビュー https://www.confetti-web.com/sp/feature/article.php?aid=757

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(2)Yahoo!ニュースオーサー 記事投稿 NEW!

総括ディレクター 伊藤 伸

◇2020年 2月28日 「議会の本来の機能を回復させる! いま地方議会が注目する無作為抽出の手法(自分ごと化会議)―新庄村議会」

https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20200228-00164630/

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(3) 一般社団法人 世界の子供たちのために「福島応援ツアー」 延期のお知らせ

「福島復興応援ツアーについて」

新型コロナウイルス(COVID-19)感染が新たな局面を迎えており、予見が難しい状況となっております。
本ツアーにおきましても感染リスクを完全には排除できないという観点から、参加者・関係者の健康面・安全面を最優先すべきであると判断し、2020年4月4日~5日に開催を予定しておりました福島復興応援ツアーを中止することにいたしました。何卒、ご理解、ご協力賜りますようお願い申し上げます。

この様な判断をさせていただきましたが、今後の感染状況の経過を見つつ、2020年秋口に再度改めて開催する計画がありますのでお楽しみにお待ちいただければ幸いです。

■お問い合わせ先:一般社団法人 世界の子供たちのために 担当 / 西村
E-mail: info@chefuko.org TEL:03-5577-3155 FAX:03-3291-0011

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【5】シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(2)

鳥取県・日南町国民健康保険日南病院名誉院長   高見 徹

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3)地域づくりをする医療の全国発信と評価

長い間、地域医療は注目されることがなかった。日南病院の「地域づくりをする医療」が注目されたのは、介護保険が始まる前年の平成11年、朝日新聞の「記者ノート」で紹介され、これが日南病院を全国に紹介してもらった最初であったと思います。

その後、平成22年NHK教育テレビ「福祉ネットワーク」で「町は大きなホスピタル~鳥取県・日南町~」が放映されました。

平成23年には読売新聞の特集記事「地域再生」のプロローグでも「日南病院の地域づくりをする医療」が紹介されました。

読売新聞のトップ下段に「鳥取の町日本の30年後」という見出しで載り、びっくりしたことを覚えています。

平成24年NKHK中国支局「フェイス」でも日南病院の取り組みが紹介され、再放送で全国に放映されたと聞いています。

平成27年BS-TBS「赤ひげのいる町」(日本医師会提供番組)でも取り上げられました。

中でも思い出に残るのは平成15年5月の連休のとき、病院でレセプト業務をしていると、1本の電話がかかってきました。第一声は「日南病院は今、患者と裁判沙汰になっていることはありませんか」というものでした。変な電話だと思いましたが「病院始まって以来そう言うことはないし、現在もありません。」と答えました。すると「総務大臣が表彰をするので、東京までとりに来てください。」と言われ、びっくりしました。

この表彰は全国自治体病院協議会が50周年をむかえるのを記念して(当時自治体病院は1024病院ありました)、その中から10病院を選んで総務大臣表彰するものでした。選考委員の方に「1024病院の中から日南病院がなぜ選ばれたのか理由が知りたい。」と質問したところ、「地域への貢献度と経営の健全度の二つの物差しで計ると、あなたの病院はトップ10に入るということです。」との返答でした。

日南病院は「地域づくりをする医療」を掲げて、高齢になっても、また、寝たきり状態になっても安心して地域で暮らせる地域づくりに成功してみせたことが、こういう評価に繋がったと考えています。地域医療が注目され始めたのは2000年前後からで介護保険が始まるころとよく一致しているようにも思います。

4.地域づくりをする医療を都市へ伝えるために

伝える事の難しさを知ったのは高知県の佐川町で地域医療の講演をしたときのことです。日南町で行った「地域づくりをする医療」をお話して、日南町で出来ることは佐川町でも出来ますと言って責任を果たしたと感じて帰ってきました。

しかし翌年、佐川町の5名の看護師さんが日南病院に来られ、「佐川町でも地域づくりをする医療をしたいので、どうしたらよいかを教えてほしい」と言われました。このとき初めて(今まで全国各地で講演させてもらっていましたが)日南町で実践している「地域づくりをする医療」は伝わっていないことに気付かされました。その後、どうしたら伝える事が出来るかを考え続けました。

その結果、

(1) 過疎の町であろうが、都市であろうが、日本であろうが、外国であろうが通用するもっと普遍的な原則はないのか、

(2) もっと分かりやすい表現、もっと実践に直結する表現方法はないのか

以上の点を考えるようになりました。

地域医療を伝える点でもう一つ頭に引っ掛かっていたことがありました。それは佐久総合病院の院長であった若月俊一氏は「医療はすべからく地域医療だ」と口癖のように言っていたと聞いたことがあります。自分では地域医療は医療の一部分と考えて医療を分類していましたので、この言葉は長い間疑問として残っていました。「医療は全て地域医療だ」とはどういう事なのか?もしこの命題に答えられるようなものがあれば、都市だろうが、外国だろうが伝えることができるかもしれないと考えるようになりました。

一度原点にたち返って考えることにしました。元々私は「日南町には30年後の日本がある」と考え、都市が高齢化したときの地域医療を今の日南町で学び、それを都市に伝えることを自分の目標にして日南病院へ赴任しました。従って日南町から学んだ多くのことの中に「何処でも通用する原則」はなかったのかを考え続けることにしました。そして「日南町の保健・医療・介護・福祉の関係者は何を実践し続けてきたのか、実践の結果は日南町というコミュニティにどのような影響を及ぼしているのか。」を考えつづけました。

その結果、行き着いたのが「地域医療のダイナミズム(流れ)は3段階があり、3つに分けて考えることができる」ということでした。日南病院はこの原則を30年以上に渡って守り続け、それに従って地域づくりをする医療を展開してきました。その地域医療の3つの段階とは以下のようなものです。

第1段階(地域を把握する段階):何処で誰がどんな風に暮らしているかを把握する段階

第2段階(地域で実践する段階):保健・医療・介護・福祉に関係者が各自の持っている情報を共有して総合的一体的に行動を起こし続ける段階

第3段階(地域造りをする段階):住民―保健・医療・介護・福祉―行政のトップとの間に地域づくりの軸が形成される段階

地域づくりをする医療はこの3つの段階を螺旋状に進んで行くと考えれば、この3つの段階は過疎の町だろうが、都市だろうが、日本であろうが、外国であろうが、中小の病院であろうが、大きな病院であろうが、急性期の疾患であろうが、慢性期の疾患であろうが通用します。また対象は子供から老人まで通用します。

これは地域づくりをする医療の最も基本的な原則であると考えられるのではないかいうことと気づきました。

1)地域医療を理解しやすくなる(可視化)

2)地域医療は地域づくりをする医療である(目的)

3)地域医療がなぜ必要かが分かる(必要性)

4)地域医療の範囲は保健・医療・介護・福祉にわたることが分かる(守備範囲)

5)地域医療は多職種協働が必要であることが理解できる(多職種連携)

6)都市をなぜ1万人程度に分割しなければならないかが分かる(規模)

7)地域医療はどこでも通用することが分かる(普遍性)

8)地域医療を伝えやすくなる(伝達性)

9)地域医療の対策が立てやすく、評価しやすくなる(戦略性)

10)実践形態と地域医療の混同が無くなり、地域医療には一つの動きしかないことが分かる(独自性)

以上、地域医療を3つの段階に分けて考えることには多くの利点があることが理解できます。

(3)へ つづく

シリーズ 現代の地域医療 ―地域づくりをする医療―(1)はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/mail/detail.php?id=963

附)

写真1は 日南病院の全景です。 https://www.kosonippon.org/wp-manager/documents/2019/mail/shasin1.JPG
写真2は 「在宅支援会議の模様」を写したものです。 https://www.kosonippon.org/wp-manager/documents/2019/mail/shasin2.jpg
写真3は 執筆者、高見徹氏 https://www.kosonippon.org/wp-manager/documents/2019/mail/shasin3.JPG

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高見 徹(たかみ とおる)

鳥取県日南町国民健康保険日南病院名誉院長。昭和24年、鳥取県大山町生まれ。東京大学医学部保健学科、鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学附属病院第一内科へ入局。平成5年から日南病院副院長として赴任、院長兼日南町健康福祉センター長、事業管理者を歴任。平成27年3月事業管理者を退任。以降名誉院長として外来、訪問診療に従事している。高齢化社会のモデルとなる地域医療を実践している。

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(編集後記)

今あるもの(含法律)を十分に活用することで、対処できることは沢山あると思います。
そのために必要なのは、正しいデータの積み重ねやそれに基づく歪められていない情報かと。
デマ情報や精神論に惑わされない、澄んだ瞳と聞く耳と責任ある判断力を持ちたいと思います。

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