「あおもり歴史トリビア」第535号(令和4年12月23日配信)
2022/12/23 (Fri) 14:00
「あおもり歴史トリビア」第535号(令和4年12月23日配信)
■□■□■□■□■□■
〈青森市メールマガジン〉
■□■□■□■□■□■
こんにちは。文化遺産課の児玉です。
「忍路丘ストーン・サークルゆ降りくれば、リンゴ畑に月のかかれる」と詠んだのは、北海道を中心に環状列石の研究に取組んだ考古学者の駒井和愛(1905~1971)です。
北海道小樽市にある忍路(おしょろ)環状列石など、「りんご」のできるところに環状列石が存在していると周囲に注意を促し、自らの研究データを集めていたといいます。
日本の南北性を示す作物は、寒地性の「りんご」と暖地性の「みかん」で、りんごは長野県以北の東北日本、みかんは主に西南日本に分布しています。りんご栽培地は、技術的環境により東北日本に分布することになり、さらに気象条件と生育の研究や品種改良を重ねることにより、積雪寒冷という厳しい環境においても有利に展開してきました。
ですので、駒井が詠んだ、りんご畑と環状列石との相関性の指摘は、両者が雪国に多いという点で、全く無関係ではないことがわかります。
雪は、大陸の高気圧から吹き出される低温の大気が、日本海側で大量の水蒸気を供給されて湿っぽくなり、それが日本列島を縦断する山脈にぶつかって舞い降ります。したがって、日本列島の日本海沿岸を中心とした地域が寒冷積雪地となっており、現在は豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年制定)で定めた「豪雪地帯」として指定されています。
北日本の環状列石は、縄文後期のものがほとんどで、いずれも「豪雪地帯」に分布しているため、この時期の環状列石については雪国に多いという傾向が認められるものの、「特別豪雪地帯」に指定されている北陸地方には、環状列石がほとんどみられません。
また、環状列石を構成する石材運搬の視点で雪との関連性を考えると、条件さえ整えば雪上で橇(そり)を用いる方法も想定されます。雪国には、深い雪を歩くという意味で「雪を漕ぐ」という表現がありますが、ひどい時には腰ほどまである雪の中を歩くこともあります。
このような環境で、重い石を載せた橇を曳くのは非常に重労働で、それは縄文人にとっても同じことが言えるでしょう。
もし、雪橇(ゆきぞり)を効果的に使用するならば、雪の上を歩けるように意図的に除雪をするか、雪が固まる機会を待つ必要があります。特に後者は、春先に最も多く好機が訪れることから「春の堅雪」などと表現され、歩いていても気持ちが良いものです。環状列石の石材運搬に雪橇を使用していたとすれば、木の幹を半切したような、原初的なものが使用されていたのかもしれません。
今年も残すところあとわずかとなりました。 メルマガを読んでくださっている皆さまには、今年も一年お付き合いいただき感謝しております。来年もよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
青森市メールマガジンをご利用いただき、ありがとうございます。
登録の変更や利用停止の手続は、次の画面からどうぞ。
○青森市ホームページ
http://www.city.aomori.aomori.jp/mailmagazine-riyou.html
○携帯サイト「青森市mini」
http://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/keitai-mini/top/mailmagazine.html
-編集・発行---------
企画部広報広聴課
青森市中央1-22-5
TEL:017-734-5106
--------------------
■□■□■□■□■□■
〈青森市メールマガジン〉
■□■□■□■□■□■
こんにちは。文化遺産課の児玉です。
「忍路丘ストーン・サークルゆ降りくれば、リンゴ畑に月のかかれる」と詠んだのは、北海道を中心に環状列石の研究に取組んだ考古学者の駒井和愛(1905~1971)です。
北海道小樽市にある忍路(おしょろ)環状列石など、「りんご」のできるところに環状列石が存在していると周囲に注意を促し、自らの研究データを集めていたといいます。
日本の南北性を示す作物は、寒地性の「りんご」と暖地性の「みかん」で、りんごは長野県以北の東北日本、みかんは主に西南日本に分布しています。りんご栽培地は、技術的環境により東北日本に分布することになり、さらに気象条件と生育の研究や品種改良を重ねることにより、積雪寒冷という厳しい環境においても有利に展開してきました。
ですので、駒井が詠んだ、りんご畑と環状列石との相関性の指摘は、両者が雪国に多いという点で、全く無関係ではないことがわかります。
雪は、大陸の高気圧から吹き出される低温の大気が、日本海側で大量の水蒸気を供給されて湿っぽくなり、それが日本列島を縦断する山脈にぶつかって舞い降ります。したがって、日本列島の日本海沿岸を中心とした地域が寒冷積雪地となっており、現在は豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年制定)で定めた「豪雪地帯」として指定されています。
北日本の環状列石は、縄文後期のものがほとんどで、いずれも「豪雪地帯」に分布しているため、この時期の環状列石については雪国に多いという傾向が認められるものの、「特別豪雪地帯」に指定されている北陸地方には、環状列石がほとんどみられません。
また、環状列石を構成する石材運搬の視点で雪との関連性を考えると、条件さえ整えば雪上で橇(そり)を用いる方法も想定されます。雪国には、深い雪を歩くという意味で「雪を漕ぐ」という表現がありますが、ひどい時には腰ほどまである雪の中を歩くこともあります。
このような環境で、重い石を載せた橇を曳くのは非常に重労働で、それは縄文人にとっても同じことが言えるでしょう。
もし、雪橇(ゆきぞり)を効果的に使用するならば、雪の上を歩けるように意図的に除雪をするか、雪が固まる機会を待つ必要があります。特に後者は、春先に最も多く好機が訪れることから「春の堅雪」などと表現され、歩いていても気持ちが良いものです。環状列石の石材運搬に雪橇を使用していたとすれば、木の幹を半切したような、原初的なものが使用されていたのかもしれません。
今年も残すところあとわずかとなりました。 メルマガを読んでくださっている皆さまには、今年も一年お付き合いいただき感謝しております。来年もよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
青森市メールマガジンをご利用いただき、ありがとうございます。
登録の変更や利用停止の手続は、次の画面からどうぞ。
○青森市ホームページ
http://www.city.aomori.aomori.jp/mailmagazine-riyou.html
○携帯サイト「青森市mini」
http://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/keitai-mini/top/mailmagazine.html
-編集・発行---------
企画部広報広聴課
青森市中央1-22-5
TEL:017-734-5106
--------------------