「あおもり歴史トリビア」第553号(令和5年5月12日配信)
2023/05/12 (Fri) 12:00
「あおもり歴史トリビア」第553号(令和5年5月12日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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こんにちは。歴史資料室の村上です。先月の担当回(第550号)では館内展示「青森の人と風景―木村家旧蔵資料を中心に」で展示している絵はがきの中から青森県庁舎の絵はがきについてお話ししました。今回は展示している絵はがきの中から青森製材所を取り上げたいと思います。
青森製材所は明治38年(1905)沖館村に設置され、翌年1月に操業を開始した日本初の官営製材所で、主にヒバ材と秋田杉を加工していました。場所は現在の青森市役所柳川庁舎の東隣です。最新式の製材機械を導入しており、年間約3万立方メートルの木材を製材する能力がありました。しかし、官営製材所が全国各地に設置されると、民間の製材業者から官営製材所の廃止を求める請願が帝国議会に提出され、大正初期に多くが廃止されることとなりました。青森製材所も大正3年(1914)に廃止されています。
さて、青森製材所について調べていたところ、学習院で教授を務めた歴史学者・大森金五郎(1867-1937)が明治40年に樺太探検旅行を行った際の紀行文「樺太行」(大森金五郎『随感随録 史伝史話 続編』〈1925年 交友社〉)の中に青森製材所に関する記述を見つけました。
大森は樺太へ向かう途中で青森を訪れ、青森製材所で機械を使った製材作業を見学しています。長さ6尺(約1.8メートル)の材木から20枚の木板を製造するまでにわずか4分間しかかからず、大森は「戯言のやうに思はるゝ程」と驚きを表現しています。製材機械については「独逸人キルネル氏の式」によるものと記していますが、これは青森製材所に多く設置されていたというドイツ・キルヒナー社の製材機械を指しているものと考えられます(『青森大林区国有林経営一斑』青森大林区署)。
さらに、隣接する貯木場の淡水池・塩水池では、職員が水に浮かんだ材木の上に乗り一本の棹を用いて船を漕ぐようにして材木を移動させるようすも見学しました。大森はこの作業について「名古屋辺より熟練なる者を呼びよせ」練習してできるようになったものと説明しています。青森製材所では国内外の技術を取り入れて製材事業に取り組んでいたのですね。
市民図書館8階のガラスケースには青森製材所と貯木場のようすがわかる絵はがきを展示していますので、ぜひご覧ください。展示期間は7月3日(月)までです。
※大森金五郎『随感随録 史伝史話 続編』は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧することができます。なお、青森製材所については「あおもり歴史トリビア」第214号(平成28年6月24日配信)もあわせてご覧ください。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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登録の変更や利用停止の手続は、次の画面からどうぞ。
○青森市ホームページ
http://www.city.aomori.aomori.jp/mailmagazine-riyou.html
○携帯サイト「青森市mini」
http://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/keitai-mini/top/mailmagazine.html
-編集・発行---------
企画部広報広聴課
青森市中央1-22-5
TEL:017-734-5106
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青森製材所は明治38年(1905)沖館村に設置され、翌年1月に操業を開始した日本初の官営製材所で、主にヒバ材と秋田杉を加工していました。場所は現在の青森市役所柳川庁舎の東隣です。最新式の製材機械を導入しており、年間約3万立方メートルの木材を製材する能力がありました。しかし、官営製材所が全国各地に設置されると、民間の製材業者から官営製材所の廃止を求める請願が帝国議会に提出され、大正初期に多くが廃止されることとなりました。青森製材所も大正3年(1914)に廃止されています。
さて、青森製材所について調べていたところ、学習院で教授を務めた歴史学者・大森金五郎(1867-1937)が明治40年に樺太探検旅行を行った際の紀行文「樺太行」(大森金五郎『随感随録 史伝史話 続編』〈1925年 交友社〉)の中に青森製材所に関する記述を見つけました。
大森は樺太へ向かう途中で青森を訪れ、青森製材所で機械を使った製材作業を見学しています。長さ6尺(約1.8メートル)の材木から20枚の木板を製造するまでにわずか4分間しかかからず、大森は「戯言のやうに思はるゝ程」と驚きを表現しています。製材機械については「独逸人キルネル氏の式」によるものと記していますが、これは青森製材所に多く設置されていたというドイツ・キルヒナー社の製材機械を指しているものと考えられます(『青森大林区国有林経営一斑』青森大林区署)。
さらに、隣接する貯木場の淡水池・塩水池では、職員が水に浮かんだ材木の上に乗り一本の棹を用いて船を漕ぐようにして材木を移動させるようすも見学しました。大森はこの作業について「名古屋辺より熟練なる者を呼びよせ」練習してできるようになったものと説明しています。青森製材所では国内外の技術を取り入れて製材事業に取り組んでいたのですね。
市民図書館8階のガラスケースには青森製材所と貯木場のようすがわかる絵はがきを展示していますので、ぜひご覧ください。展示期間は7月3日(月)までです。
※大森金五郎『随感随録 史伝史話 続編』は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧することができます。なお、青森製材所については「あおもり歴史トリビア」第214号(平成28年6月24日配信)もあわせてご覧ください。
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