「あおもり歴史トリビア」第608号(令和6年7月5日配信)
2024/07/05 (Fri) 12:00
「あおもり歴史トリビア」第608号(令和6年7月5日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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みなさん、こんにちは。室長の工藤です。
歴史を叙述するにあたって大事な作業のひとつが、対象とする事柄やできごとの「年代」を(できるだけ)信頼のできる史料で確定(=実証)することにあります。青森市の歴史叙述においては残念なことですが、そうした基本的な作業がおろそかにされることがしばしばありました。
たとえば、現在県立郷土館の東側にある浜町神明宮の明治以降の遷宮をめぐる叙述にその一端を垣間見ることができます。まず、寛永20年(1643)以降柳町にあったとされる神明宮は、明治20年代に現在の市役所の敷地の一角に遷宮することになりました(遷宮A)。その年代は明治20年(1887)頃と同29年とするふたつの叙述が確認できます。
さらに、大正期にこの神明宮は橋本小学校の隣接地(北側)に再び遷宮することになります(遷宮B)。その年代は大正9年(1920)2月4日と同11年と、やはりふたつの叙述があります。そして現在地への遷宮についても(遷宮C)、昭和22年(1947)春、同年10月15日とここもふたつの叙述が存在しています。
なぜこのようなことが生じたのか…これについてはそれぞれの叙述の性格上、根拠となる史料が明示されていないので分かりません。ただ、どちらかもしくは両方が「信頼できる史料」で事実を確定していないこと、また「何をもって『遷宮』とするか」というところが論者によってまちまちになっていることが考えられます。
遷宮Aについては、明治25年時点で柳町に存在していることが絵図で確認でき、さらに同29年11月20日付『東奥日報』の記事「神明宮移転に就て」からまだ移転していないことが判明します。つぎに遷宮Bは、大正11年の地図には橋本小学校の北側に神明宮が描かれています。また、浜町神明宮にある社号標の裏側に「大正十二年七月十六日 浜町・新浜町」と刻まれています。遷宮の年代の下限は大正12年ということはいえそうです。遷宮Cについては目下手元に参考となる史料がありません。
このように、浜町神明宮の明治以降の遷宮の年代は歴史学的にはまったく明らかになっていないというのが現状といえます。改めて調べてみるべき課題となりました。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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歴史を叙述するにあたって大事な作業のひとつが、対象とする事柄やできごとの「年代」を(できるだけ)信頼のできる史料で確定(=実証)することにあります。青森市の歴史叙述においては残念なことですが、そうした基本的な作業がおろそかにされることがしばしばありました。
たとえば、現在県立郷土館の東側にある浜町神明宮の明治以降の遷宮をめぐる叙述にその一端を垣間見ることができます。まず、寛永20年(1643)以降柳町にあったとされる神明宮は、明治20年代に現在の市役所の敷地の一角に遷宮することになりました(遷宮A)。その年代は明治20年(1887)頃と同29年とするふたつの叙述が確認できます。
さらに、大正期にこの神明宮は橋本小学校の隣接地(北側)に再び遷宮することになります(遷宮B)。その年代は大正9年(1920)2月4日と同11年と、やはりふたつの叙述があります。そして現在地への遷宮についても(遷宮C)、昭和22年(1947)春、同年10月15日とここもふたつの叙述が存在しています。
なぜこのようなことが生じたのか…これについてはそれぞれの叙述の性格上、根拠となる史料が明示されていないので分かりません。ただ、どちらかもしくは両方が「信頼できる史料」で事実を確定していないこと、また「何をもって『遷宮』とするか」というところが論者によってまちまちになっていることが考えられます。
遷宮Aについては、明治25年時点で柳町に存在していることが絵図で確認でき、さらに同29年11月20日付『東奥日報』の記事「神明宮移転に就て」からまだ移転していないことが判明します。つぎに遷宮Bは、大正11年の地図には橋本小学校の北側に神明宮が描かれています。また、浜町神明宮にある社号標の裏側に「大正十二年七月十六日 浜町・新浜町」と刻まれています。遷宮の年代の下限は大正12年ということはいえそうです。遷宮Cについては目下手元に参考となる史料がありません。
このように、浜町神明宮の明治以降の遷宮の年代は歴史学的にはまったく明らかになっていないというのが現状といえます。改めて調べてみるべき課題となりました。
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