「あおもり歴史トリビア」第635号(令和7年1月17日配信)
2025/01/17 (Fri) 12:00
「あおもり歴史トリビア」第635号(令和7年1月17日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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明けましておめでとうございます。文化遺産課の児玉です。今年もよろしくお願いします。皆さんは、毎年年越しそばを食べていますか? 我が家では、除夜の鐘を聞いてからそばを食べる習慣があるのですが、職場の人に聞いてみると、多くの家庭では年を越す前にそばを食べるのが一般的なようで、少し驚きました。
さて、ソバは日本文化に深く根付いた食材ですが、その原産地は中国とされ、そこから各地に広がったと考えられています。日本には、縄文時代晩期?弥生時代には既に伝わっていたとされ、青森県内の石亀遺跡(田子町)では、縄文晩期のソバの花粉が発見されています。また、北海道南西部のハマナス野遺跡(函館市)では、炭化したソバの種実が出土し、縄文前期末まで遡ることが明らかになっています。一方で、三内丸山遺跡(青森市)では土器の表面に「ミゾソバ」の種実の圧痕が確認されています。ミゾソバはソバと同じタデ科に属する植物で、食べることも可能ですが、異なる種類でありソバではありません。
時代が進むと、奈良時代には文献にソバの栽培が登場します。特に飢饉対策作物として栽培され、痩せた土地でも成長が早いソバは、古代の人々にとって欠かせない作物でした。さらに、平安時代中期には、青森市内の郷山前村元遺跡から、ソバやイネ、キビ、アワ、アズキ、アサの種実が炭化した塊が出土しています。当時の作物の利用方法や保存技術を考える上で貴重な発見となりました。
現在のような「そば切り」(麺状のそば)が登場したのは江戸時代初期と考えられ、当時の庶民の間で手軽なファーストフードとして親しまれました。また、「年越しそば」の習慣も江戸時代に定着したとされ、その背景には「そばは切れやすい」ことから一年の苦労や厄災を断ち切る意味、そばの細く長い形から延命・長寿を願う意味など、さまざまな説があります。ちなみに、私はソバの実を塩ゆでして食べるのが好きです。シンプルですが、素朴な香りとぷちぷちした食感が楽しめ、ソバ本来の風味を堪能できます。
年越しそばでも、塩ゆでしたソバの実でも、その形は違えど、長い歴史に触れながら味わうことで、より一層深い親しみを感じることができるかもしれません。今年はぜひ、ソバに込められた日本の歴史と文化を思いながら、食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
(文化遺産課 児玉)
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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さて、ソバは日本文化に深く根付いた食材ですが、その原産地は中国とされ、そこから各地に広がったと考えられています。日本には、縄文時代晩期?弥生時代には既に伝わっていたとされ、青森県内の石亀遺跡(田子町)では、縄文晩期のソバの花粉が発見されています。また、北海道南西部のハマナス野遺跡(函館市)では、炭化したソバの種実が出土し、縄文前期末まで遡ることが明らかになっています。一方で、三内丸山遺跡(青森市)では土器の表面に「ミゾソバ」の種実の圧痕が確認されています。ミゾソバはソバと同じタデ科に属する植物で、食べることも可能ですが、異なる種類でありソバではありません。
時代が進むと、奈良時代には文献にソバの栽培が登場します。特に飢饉対策作物として栽培され、痩せた土地でも成長が早いソバは、古代の人々にとって欠かせない作物でした。さらに、平安時代中期には、青森市内の郷山前村元遺跡から、ソバやイネ、キビ、アワ、アズキ、アサの種実が炭化した塊が出土しています。当時の作物の利用方法や保存技術を考える上で貴重な発見となりました。
現在のような「そば切り」(麺状のそば)が登場したのは江戸時代初期と考えられ、当時の庶民の間で手軽なファーストフードとして親しまれました。また、「年越しそば」の習慣も江戸時代に定着したとされ、その背景には「そばは切れやすい」ことから一年の苦労や厄災を断ち切る意味、そばの細く長い形から延命・長寿を願う意味など、さまざまな説があります。ちなみに、私はソバの実を塩ゆでして食べるのが好きです。シンプルですが、素朴な香りとぷちぷちした食感が楽しめ、ソバ本来の風味を堪能できます。
年越しそばでも、塩ゆでしたソバの実でも、その形は違えど、長い歴史に触れながら味わうことで、より一層深い親しみを感じることができるかもしれません。今年はぜひ、ソバに込められた日本の歴史と文化を思いながら、食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
(文化遺産課 児玉)
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