「あおもり歴史トリビア」第666号(令和7年8月22日配信)
2025/08/22 (Fri) 12:00
「あおもり歴史トリビア」第666号(令和7年8月22日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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こんにちは。歴史資料室の村上です。
今年は十和田湖の「三恩人」の一人である作家・大町桂月(1869-1925)の没後100年の節目の年です。桂月は十和田湖や蔦温泉を愛し、その魅力を紀行文によって広く伝えました。今回は桂月の紀行文の中から、大正11年(1922)8月に八甲田を訪れた際のできごとを記した「花の八甲田山」(『桂月全集 別巻』〈桂月全集刊行会 1929年〉に収録)をご紹介します。
桂月が八甲田を目指した目的の一つは山中に暮らす「仙女」に会うことでした。「仙女」について桂月は「猛獣毒蛇を物ともせず、路もなき深山幽谷を単身にて踏みわけ、高山植物を友とすること数十年」と説明しています。「仙女」とはいったい誰なのでしょうか?
桂月は鹿内辰五郎の案内で蔦温泉から酸ヶ湯温泉へと向かい、途中で「仙女」の娘婿・白戸友雄(酸ヶ湯温泉の経営者の一人)や「仙女」の長男・郡場寛(植物学者)に迎えられました。この名前にピンときた方がいらっしゃるかもしれません。「仙女」とは酸ヶ湯温泉の経営に携わりながら高山植物を採集・研究した郡場ふみ(1856-1925)のことです。ふみも今年が没後100年の節目にあたります。
さて、酸ヶ湯温泉に到着した桂月は大岳に登りたいと考えていましたが、この日は天候が悪いため登ることができず、寛の案内で嫦娥(じょうが)渓を見物することになりました。嫦娥渓とは城ヶ倉渓流のことです。崖が高く谷が深い危険な場所でしたが、先導する寛は平気なようすで良い景色を写真に収めながら進んでいたといいます。桂月は柱状の安山岩(六方石)が重なり合う景色に驚き、日記に「嫦娥くらの景は六方石にあり、入江のふち 磁石のふち」という言葉を残しました。
翌日も天候が悪く、寛の案内で三階瀧を見に行きました。桂月は「八甲田山中、見落とすべからざる勝景」と評価しています。そして、3日目は良くも悪くもない天気であったため、思い切って大岳へ登ることにしました。鏡沼や高山植物の花畑を見ながら進み、ついに頂上へ至りましたが、雲が濃く風も激しく、寒さで身体が震えたそうです。
〈企画展示のお知らせ〉
8月23日(土曜日)から歴史資料室の新しい企画展示「旅の思い出3~東北の名所絵はがき~」を開催します。この展示では松島や山寺など東北各地の名所の絵はがきをご紹介します。また、大町桂月が訪れた十和田湖や薬研温泉などの絵はがきも展示します。展示は9月26日(金曜日)まで行いますので、市民図書館へお越しの際はぜひご覧ください(但し9月10日(水曜日)は休館日)。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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今年は十和田湖の「三恩人」の一人である作家・大町桂月(1869-1925)の没後100年の節目の年です。桂月は十和田湖や蔦温泉を愛し、その魅力を紀行文によって広く伝えました。今回は桂月の紀行文の中から、大正11年(1922)8月に八甲田を訪れた際のできごとを記した「花の八甲田山」(『桂月全集 別巻』〈桂月全集刊行会 1929年〉に収録)をご紹介します。
桂月が八甲田を目指した目的の一つは山中に暮らす「仙女」に会うことでした。「仙女」について桂月は「猛獣毒蛇を物ともせず、路もなき深山幽谷を単身にて踏みわけ、高山植物を友とすること数十年」と説明しています。「仙女」とはいったい誰なのでしょうか?
桂月は鹿内辰五郎の案内で蔦温泉から酸ヶ湯温泉へと向かい、途中で「仙女」の娘婿・白戸友雄(酸ヶ湯温泉の経営者の一人)や「仙女」の長男・郡場寛(植物学者)に迎えられました。この名前にピンときた方がいらっしゃるかもしれません。「仙女」とは酸ヶ湯温泉の経営に携わりながら高山植物を採集・研究した郡場ふみ(1856-1925)のことです。ふみも今年が没後100年の節目にあたります。
さて、酸ヶ湯温泉に到着した桂月は大岳に登りたいと考えていましたが、この日は天候が悪いため登ることができず、寛の案内で嫦娥(じょうが)渓を見物することになりました。嫦娥渓とは城ヶ倉渓流のことです。崖が高く谷が深い危険な場所でしたが、先導する寛は平気なようすで良い景色を写真に収めながら進んでいたといいます。桂月は柱状の安山岩(六方石)が重なり合う景色に驚き、日記に「嫦娥くらの景は六方石にあり、入江のふち 磁石のふち」という言葉を残しました。
翌日も天候が悪く、寛の案内で三階瀧を見に行きました。桂月は「八甲田山中、見落とすべからざる勝景」と評価しています。そして、3日目は良くも悪くもない天気であったため、思い切って大岳へ登ることにしました。鏡沼や高山植物の花畑を見ながら進み、ついに頂上へ至りましたが、雲が濃く風も激しく、寒さで身体が震えたそうです。
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8月23日(土曜日)から歴史資料室の新しい企画展示「旅の思い出3~東北の名所絵はがき~」を開催します。この展示では松島や山寺など東北各地の名所の絵はがきをご紹介します。また、大町桂月が訪れた十和田湖や薬研温泉などの絵はがきも展示します。展示は9月26日(金曜日)まで行いますので、市民図書館へお越しの際はぜひご覧ください(但し9月10日(水曜日)は休館日)。
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