「あおもり歴史トリビア」第667号(令和7年8月29日配信)
2025/08/29 (Fri) 12:00
「あおもり歴史トリビア」第667号(令和7年8月29日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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皆さん、こんにちは。文化遺産課の石戸谷です。
初夏から秋にかけての夕方、青森市内では「ド~ン」という大きな花火の音を耳にします。これは神社のヨミヤを知らせる号砲で、この音を聞いて、「今日はどこのヨミヤだろうか?」と話題にする方も少なくないと思います。
津軽地方の神社では、例大祭の前日の神事を「ヨミヤ」と呼び、漢字では「宵宮」や「夜宮」の文字が当てられます。境内や参道に、くじ引き・ヨーヨー・たこ焼き・金魚すくい・焼そば・から揚げなど、多数の露店が並び、子どもたちの楽しみになっています。
さて、ヨミヤや例大祭では、300年以上にわたって、津軽地方の神職(社家ともいいます)のみで伝承されてきた「津軽神楽」という神事芸能が行われます。笛・太鼓・手拍子(手平鉦のこと)の囃子にあわせ、演目によって、太刀・鈴・扇・榊・御幣などの採物(とりもの)を手にして舞われます。所作のなかに、御幣や榊の大枝を左右に振る「祓い」の要素が非常に強いのが特徴で、娯楽色が少なく厳かで優雅な舞です。青森市内では、例大祭で行われることが多く、今年8月15日には、松森八幡宮で70年ぶりに津軽神楽が奉納されたことがニュースになりました。
演目は、神入舞(かみいりまい)・宝剣(ほうけん)・磯良(いそら)・千歳(せんざい)・榊葉(さかきば)・弓立(ゆだて)・天王(てんのう)・朝倉(あさくら)・湯均舞(ゆならしまい)・御獅子(おしし)・四家舞(しかのまい)の11番が伝えられ、神事のなかでは、このうち数番が舞われます。なかでも四家舞は、平成21年(2009)に猿賀神社で約30年ぶりに披露されました。本県の芸能史を考える上で重要なものとして、昭和31年(1956)に県の無形民俗文化財、昭和51年には国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選定されています。
弘前市周辺では11番すべてが伝承されていますが、青森市及び東津軽郡では、東青津軽神楽保存会の神職によって、神入舞・千歳・宝剣・磯良・弓立の5番が伝承されています。
私は、これまですべての演目を見てきましたが、各地区の舞を見比べると、多少の地域差があることに気が付きます。例えば、囃子のテンポが違っていたり、本来2人舞の神入舞は、東青地区では、1人舞になっています。
ちなみに、私が好きな演目は、天王という矢を射る舞です。弘前市周辺や北・西津軽郡の神社を訪れると、拝殿の天井に矢が刺さっているのを目にすることがありますが、それは、この舞によって放たれたものです。西津軽郡などでは、うまく刺さると豊作や大漁であるといわれます。
この芸能が、今日まで続けられてきたのは、神職たちが、自分たちの職分としてこの芸能に誇りを持っていたからにほかなりません。お近くで津軽神楽が行われていたら、是非ご覧いただきたいと思います。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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初夏から秋にかけての夕方、青森市内では「ド~ン」という大きな花火の音を耳にします。これは神社のヨミヤを知らせる号砲で、この音を聞いて、「今日はどこのヨミヤだろうか?」と話題にする方も少なくないと思います。
津軽地方の神社では、例大祭の前日の神事を「ヨミヤ」と呼び、漢字では「宵宮」や「夜宮」の文字が当てられます。境内や参道に、くじ引き・ヨーヨー・たこ焼き・金魚すくい・焼そば・から揚げなど、多数の露店が並び、子どもたちの楽しみになっています。
さて、ヨミヤや例大祭では、300年以上にわたって、津軽地方の神職(社家ともいいます)のみで伝承されてきた「津軽神楽」という神事芸能が行われます。笛・太鼓・手拍子(手平鉦のこと)の囃子にあわせ、演目によって、太刀・鈴・扇・榊・御幣などの採物(とりもの)を手にして舞われます。所作のなかに、御幣や榊の大枝を左右に振る「祓い」の要素が非常に強いのが特徴で、娯楽色が少なく厳かで優雅な舞です。青森市内では、例大祭で行われることが多く、今年8月15日には、松森八幡宮で70年ぶりに津軽神楽が奉納されたことがニュースになりました。
演目は、神入舞(かみいりまい)・宝剣(ほうけん)・磯良(いそら)・千歳(せんざい)・榊葉(さかきば)・弓立(ゆだて)・天王(てんのう)・朝倉(あさくら)・湯均舞(ゆならしまい)・御獅子(おしし)・四家舞(しかのまい)の11番が伝えられ、神事のなかでは、このうち数番が舞われます。なかでも四家舞は、平成21年(2009)に猿賀神社で約30年ぶりに披露されました。本県の芸能史を考える上で重要なものとして、昭和31年(1956)に県の無形民俗文化財、昭和51年には国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選定されています。
弘前市周辺では11番すべてが伝承されていますが、青森市及び東津軽郡では、東青津軽神楽保存会の神職によって、神入舞・千歳・宝剣・磯良・弓立の5番が伝承されています。
私は、これまですべての演目を見てきましたが、各地区の舞を見比べると、多少の地域差があることに気が付きます。例えば、囃子のテンポが違っていたり、本来2人舞の神入舞は、東青地区では、1人舞になっています。
ちなみに、私が好きな演目は、天王という矢を射る舞です。弘前市周辺や北・西津軽郡の神社を訪れると、拝殿の天井に矢が刺さっているのを目にすることがありますが、それは、この舞によって放たれたものです。西津軽郡などでは、うまく刺さると豊作や大漁であるといわれます。
この芸能が、今日まで続けられてきたのは、神職たちが、自分たちの職分としてこの芸能に誇りを持っていたからにほかなりません。お近くで津軽神楽が行われていたら、是非ご覧いただきたいと思います。
《問合せ》
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