「あおもり歴史トリビア」第679号(令和7年11月21日配信)
2025/11/21 (Fri) 12:00
「あおもり歴史トリビア」第679号(令和7年11月21日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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みなさん、こんにちは。室長の工藤です。
今月は市民図書館内での歴史資料室の資料展示をテーマにした配信が続いているので、私もこれにならい「昭和の大合併」―青森市と後潟村の合併について取り上げます。
青森市はいわゆる「昭和の大合併」では、大野村をはじめ12町村と合併しました。そのなかで唯一、東津軽郡後潟村は青森県の合併計画では青森市との合併すべき町村に含まれていませんでした。同村は北隣の蓬田村との合併を求められていたのです。
こうした背景をふまえると、この2市村の合併はしっかり記録し残しておくべきかと思うのですが、『新青森市史』をはじめ、後潟村の地域史叙述ではせいぜい数行の叙述で、その過程がまったくわかりません。これは蓬田村もしかりです。
唯一の叙述は、合併推進の当事者である青森県総務部地方課が編さんし、昭和36年(1961)発刊の『青森県市町村沿革誌』(以下、『合併誌』)です。ただ、後潟村については合併直前の半年間の状況がわかりません。青森市の動向にいたっては、合併前の1年3か月がほとんどつかめません。
さて、これら市村の合併の件は、青森市議会では昭和31年(1956)6月28日、一方後潟村議会では6月30日に可決となり、同年9月1日に後潟村は青森市に編入合併となりました(『合併誌』)。今回、青森市議会で合併案件が可決される直前の青森市の公文書を目にする機会があったので、以下にかいつまんで紹介します。
まず、後潟村には青森市との合併に反対する村民もいて、彼らはてこの合併について村当局からの説明不足を問題視しています。さらには、蓬田村だけでなくすでに青森市と合併した奥内村を含めた3村で合併するのが本来あるべき姿であるとも言っています。
一方、青森市側は少なくとも2回、後潟村の住民と話合いの場を設けています。これを受けて理事者は合併に前向きであるものの、市議会議員のなかからは後潟村の合併反対住民による「分村(=境界変更して蓬田村に編入)」運動が起ることを警戒する声が上がっています。ただ史料を読む限り、後潟村からは「分村」の話題は出ていません。また、県が提示している後潟村の合併相手である蓬田村について、青森市の理事者は合併に含みを残しており、「分村」運動を警戒する議員からは「蓬田村も合併すれば万事解決」との意見がありました。
そして6月19日、青森市の助役は後潟村の合併反対派も合併を「容認」していると判断し、つぎの市議会に諮ると発言しています。「つぎの市議会」はさきの6月28日のものと思われます。ただこの間、22日に青森市側は後潟村に出向くつもりでいるようなので、きっと詰めの話し合いがあったとみられますが、残念ながら確認できません。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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○青森市ホームページ
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青森市はいわゆる「昭和の大合併」では、大野村をはじめ12町村と合併しました。そのなかで唯一、東津軽郡後潟村は青森県の合併計画では青森市との合併すべき町村に含まれていませんでした。同村は北隣の蓬田村との合併を求められていたのです。
こうした背景をふまえると、この2市村の合併はしっかり記録し残しておくべきかと思うのですが、『新青森市史』をはじめ、後潟村の地域史叙述ではせいぜい数行の叙述で、その過程がまったくわかりません。これは蓬田村もしかりです。
唯一の叙述は、合併推進の当事者である青森県総務部地方課が編さんし、昭和36年(1961)発刊の『青森県市町村沿革誌』(以下、『合併誌』)です。ただ、後潟村については合併直前の半年間の状況がわかりません。青森市の動向にいたっては、合併前の1年3か月がほとんどつかめません。
さて、これら市村の合併の件は、青森市議会では昭和31年(1956)6月28日、一方後潟村議会では6月30日に可決となり、同年9月1日に後潟村は青森市に編入合併となりました(『合併誌』)。今回、青森市議会で合併案件が可決される直前の青森市の公文書を目にする機会があったので、以下にかいつまんで紹介します。
まず、後潟村には青森市との合併に反対する村民もいて、彼らはてこの合併について村当局からの説明不足を問題視しています。さらには、蓬田村だけでなくすでに青森市と合併した奥内村を含めた3村で合併するのが本来あるべき姿であるとも言っています。
一方、青森市側は少なくとも2回、後潟村の住民と話合いの場を設けています。これを受けて理事者は合併に前向きであるものの、市議会議員のなかからは後潟村の合併反対住民による「分村(=境界変更して蓬田村に編入)」運動が起ることを警戒する声が上がっています。ただ史料を読む限り、後潟村からは「分村」の話題は出ていません。また、県が提示している後潟村の合併相手である蓬田村について、青森市の理事者は合併に含みを残しており、「分村」運動を警戒する議員からは「蓬田村も合併すれば万事解決」との意見がありました。
そして6月19日、青森市の助役は後潟村の合併反対派も合併を「容認」していると判断し、つぎの市議会に諮ると発言しています。「つぎの市議会」はさきの6月28日のものと思われます。ただこの間、22日に青森市側は後潟村に出向くつもりでいるようなので、きっと詰めの話し合いがあったとみられますが、残念ながら確認できません。
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