「あおもり歴史トリビア」第436号
2020/12/18 (Fri) 10:00
「あおもり歴史トリビア」第436号(令和2年12月18日配信)
■□■□■□■□■□■
〈青森市メールマガジン〉
■□■□■□■□■□■
こんにちは! 歴史資料室の鈴木です。とうとう雪の季節になりましたね。
今回は、以前にあおもり歴史トリビアNo.154(平成27年4月17日)とNo.426(令和2年10月9日)でご紹介しました児童図書館に関わるお話です。
大正9年(1920)から昭和14年(1939)まで、青森市に一戸岳逸(1873-1939)が設立した通俗図書館がありました。一戸は、東奥日報社に勤務しながら個人でこの図書館を運営し、子どもから大人まで広く市民の読書活動を支援していました。通俗図書館は一戸が大正7年9月に設立した児童図書館を前身とし、そこには彼が主催していた「青森市教育後援会」と「青森市書画同好会」が関わっています。
明治45年(1912)、前々年の青森大火で青森市民は疲弊しており、加えてこの年は米価が高騰したことで、貧しい家の子どもは授業料が免除されても学用品が用意できず学校へ通えずにいました。一戸はこれに心を痛め、賛助員を募って青森市教育後援会を組織しました。後援会の内規には、教育事業の振興を図るため、貧困児童への学用品と教科書の給与、無学者夜学会の補助、学校公園等運動場用具設備補助などのほか、児童図書館設立補助を行うとあります。ですから、一戸はこの時すでに児童図書館の設立を目指していたのです。
また、一戸はそれ以前の明治34年、20代後半に書や日本画の研鑚(けんさん)と奨励をはかることを目的に、青森市書画同好会という団体を設立しています。
この会では美術団体としての活動のほかに、書画抽せん会を開き、そこで得た資金を募金する活動も行っていました。例えば、明治37年4月には日露戦争の軍資金献納のため、明治39年4月には東北地方大凶作で困窮した人々を救済するために抽せん会を開催しています。
抽せんの方法は、まず会員を募って会費を集め、事業に賛同する県内外の書家や日本画家から作品を寄贈してもらい、その作品に番号をつけて抽せんを行います。そして、それを会費の領収証番号と照合して配布するというものでした。この抽せん会には、日本画の工藤仙来やねぶた師の柿崎琴章、書家の本間覃山(たんざん)といった県内の作家のほか、県外で活躍した弘前出身の高橋竹年、東京の大家である水野年方などからも作品が寄せられました。
また、書画同好会は児童図書館の維持にも関わっていたようで、大正7年に児童図書館を設立する際に定められた館則には、「本館は書画同好会及篤志者の賛助に依りて之を維持す」とあります。
そのためでしょうか、大正9年に第一次大戦後の戦後恐慌と物価高騰が起きた際に、一戸は児童図書館でも同様の方法で絵画抽せん会を開き、図書購入費を調達しました。会場は、浦町にあった青森幼稚園で、このときは高橋竹年、「馬の如洋」とも称された野澤如洋、角館出身の小野崎大凌などの作家が作品を寄せています。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
青森市メールマガジンをご利用いただき、ありがとうございます。
登録の変更や利用停止の手続は、次の画面からどうぞ。
○青森市ホームページ
http://www.city.aomori.aomori.jp/mailmagazine-riyou.html
○携帯サイト「青森市mini」
http://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/keitai-mini/top/mailmagazine.html
-編集・発行---------
企画部広報広聴課
青森市中央1-22-5
TEL:017-734-5106
--------------------
■□■□■□■□■□■
〈青森市メールマガジン〉
■□■□■□■□■□■
こんにちは! 歴史資料室の鈴木です。とうとう雪の季節になりましたね。
今回は、以前にあおもり歴史トリビアNo.154(平成27年4月17日)とNo.426(令和2年10月9日)でご紹介しました児童図書館に関わるお話です。
大正9年(1920)から昭和14年(1939)まで、青森市に一戸岳逸(1873-1939)が設立した通俗図書館がありました。一戸は、東奥日報社に勤務しながら個人でこの図書館を運営し、子どもから大人まで広く市民の読書活動を支援していました。通俗図書館は一戸が大正7年9月に設立した児童図書館を前身とし、そこには彼が主催していた「青森市教育後援会」と「青森市書画同好会」が関わっています。
明治45年(1912)、前々年の青森大火で青森市民は疲弊しており、加えてこの年は米価が高騰したことで、貧しい家の子どもは授業料が免除されても学用品が用意できず学校へ通えずにいました。一戸はこれに心を痛め、賛助員を募って青森市教育後援会を組織しました。後援会の内規には、教育事業の振興を図るため、貧困児童への学用品と教科書の給与、無学者夜学会の補助、学校公園等運動場用具設備補助などのほか、児童図書館設立補助を行うとあります。ですから、一戸はこの時すでに児童図書館の設立を目指していたのです。
また、一戸はそれ以前の明治34年、20代後半に書や日本画の研鑚(けんさん)と奨励をはかることを目的に、青森市書画同好会という団体を設立しています。
この会では美術団体としての活動のほかに、書画抽せん会を開き、そこで得た資金を募金する活動も行っていました。例えば、明治37年4月には日露戦争の軍資金献納のため、明治39年4月には東北地方大凶作で困窮した人々を救済するために抽せん会を開催しています。
抽せんの方法は、まず会員を募って会費を集め、事業に賛同する県内外の書家や日本画家から作品を寄贈してもらい、その作品に番号をつけて抽せんを行います。そして、それを会費の領収証番号と照合して配布するというものでした。この抽せん会には、日本画の工藤仙来やねぶた師の柿崎琴章、書家の本間覃山(たんざん)といった県内の作家のほか、県外で活躍した弘前出身の高橋竹年、東京の大家である水野年方などからも作品が寄せられました。
また、書画同好会は児童図書館の維持にも関わっていたようで、大正7年に児童図書館を設立する際に定められた館則には、「本館は書画同好会及篤志者の賛助に依りて之を維持す」とあります。
そのためでしょうか、大正9年に第一次大戦後の戦後恐慌と物価高騰が起きた際に、一戸は児童図書館でも同様の方法で絵画抽せん会を開き、図書購入費を調達しました。会場は、浦町にあった青森幼稚園で、このときは高橋竹年、「馬の如洋」とも称された野澤如洋、角館出身の小野崎大凌などの作家が作品を寄せています。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
青森市メールマガジンをご利用いただき、ありがとうございます。
登録の変更や利用停止の手続は、次の画面からどうぞ。
○青森市ホームページ
http://www.city.aomori.aomori.jp/mailmagazine-riyou.html
○携帯サイト「青森市mini」
http://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/keitai-mini/top/mailmagazine.html
-編集・発行---------
企画部広報広聴課
青森市中央1-22-5
TEL:017-734-5106
--------------------