「あおもり歴史トリビア」第441号
2021/01/29 (Fri) 10:00
「あおもり歴史トリビア」第441号(令和3年1月29日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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こんにちは。文化財課の児玉です
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。年末年始は皆さんいかがお過ごしだったでしょうか。私は、雪かきのほか、天ぷら鍋やガスコンロなどの頑固な焦げを、ヘラなどを使ってこそげ落としたり、重曹を使ったりといった工夫をしながら、数日間作業しました。
この焦げ(以下、「お焦げ」)は、食品の吹きこぼれにより、煮汁や油が熱によって炭化したものですが、それは縄文土器にも見られます。山梨県の水呑場北遺跡では、縄文時代中期の土器にユリ科やヒガンバナ科と思われる球根類の「お焦げ」が土器の底に付着していました。また、滋賀県の竜ケ崎A遺跡の縄文時代晩期の土器の内側に付いていた「お焦げ」が、イネ科のキビだったことも確認されています。
しかし、土器に付着するほとんどの「お焦げ」は、元の食材の原形をとどめていないものがほとんどで、近年では、「お焦げ」に残された脂質の分析や炭素・窒素の同位体比と含有量の分析により、その土器がどのような食材を調理していたのかを明らかにしようとする研究も進められています。
また、この「お焦げ」に含まれる放射性炭素を利用して、年代を測定することもできます。自然界の炭素には、重さが異なる炭素12・炭素13・炭素14という3種類の原子があり、そのうち1兆分の1という一定の割合で存在している炭素14が放射線を放出する放射性物質です。
炭素14は、宇宙から地球に飛んできた放射線が空気に衝突して窒素を炭素14に変化させ、この生成された炭素14と酸素が結合して二酸化炭素となり、光合成によって植物に取り込まれ、食物連鎖で動物にも広がっていきます。動植物に含まれる炭素14の存在比率は、ほぼ一定で死ぬまで変わりませんが、死後は新しい炭素の補給が止まり、存在比率が下がり始めます。土器に付着した「お焦げ」などに残っている炭素14は、放射線を出して減っていき、5,730年で半分の数になります。
この性質と炭素14の半減期が5730年であることを利用して、「お焦げ」の中に残っている炭素14の数を測定することにより、何年前の土器なのかがわかるのです。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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○携帯サイト「青森市mini」
http://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/keitai-mini/top/mailmagazine.html
-編集・発行---------
企画部広報広聴課
青森市中央1-22-5
TEL:017-734-5106
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この焦げ(以下、「お焦げ」)は、食品の吹きこぼれにより、煮汁や油が熱によって炭化したものですが、それは縄文土器にも見られます。山梨県の水呑場北遺跡では、縄文時代中期の土器にユリ科やヒガンバナ科と思われる球根類の「お焦げ」が土器の底に付着していました。また、滋賀県の竜ケ崎A遺跡の縄文時代晩期の土器の内側に付いていた「お焦げ」が、イネ科のキビだったことも確認されています。
しかし、土器に付着するほとんどの「お焦げ」は、元の食材の原形をとどめていないものがほとんどで、近年では、「お焦げ」に残された脂質の分析や炭素・窒素の同位体比と含有量の分析により、その土器がどのような食材を調理していたのかを明らかにしようとする研究も進められています。
また、この「お焦げ」に含まれる放射性炭素を利用して、年代を測定することもできます。自然界の炭素には、重さが異なる炭素12・炭素13・炭素14という3種類の原子があり、そのうち1兆分の1という一定の割合で存在している炭素14が放射線を放出する放射性物質です。
炭素14は、宇宙から地球に飛んできた放射線が空気に衝突して窒素を炭素14に変化させ、この生成された炭素14と酸素が結合して二酸化炭素となり、光合成によって植物に取り込まれ、食物連鎖で動物にも広がっていきます。動植物に含まれる炭素14の存在比率は、ほぼ一定で死ぬまで変わりませんが、死後は新しい炭素の補給が止まり、存在比率が下がり始めます。土器に付着した「お焦げ」などに残っている炭素14は、放射線を出して減っていき、5,730年で半分の数になります。
この性質と炭素14の半減期が5730年であることを利用して、「お焦げ」の中に残っている炭素14の数を測定することにより、何年前の土器なのかがわかるのです。
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