「あおもり歴史トリビア」第456号
2021/05/14 (Fri) 11:00
「あおもり歴史トリビア」第456号(令和3年5月14日配信)
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〈青森市メールマガジン〉
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こんにちは。歴史資料室の村上です。
歴史資料室では現在、館内展示「くらしのかまり―工藤正市が撮った昭和30年頃の青森市」を行っています(展示期間は6月30日まで)。この展示は3月に行った「工藤正市写真展―よみがえる昭和30年頃のくらしとまち」の続編として企画したもので、一部写真の入れ替えを行い、新たに解説を加えています。今回は、新たに展示に加えた写真の中から一枚をご紹介したいと思います。
その写真は夜店通りの酒井金物店(現リビングショップサカイ)附近で撮影されたものです。中央には笛を吹く男性とその男性を見つめる二人の子どもが写っています。男性の横には引き出しのついた木製の台が置かれ、その台の上にはたくさんの日の丸の小旗が立っています。
私は男性がお菓子を売る行商人ではないかと考え、青森市の画家・山口晴温(やまぐち・せいおん)の『季節の風物詩 物売りスケッチ』(2006年 北の街社)をみてみました。すると、表紙に写真の男性と共通点のある行商人のスケッチがありました。それは「からみあめ売り」の姿を描いたものでした。さらにこの本を読み進めると、「取材雑観」のなかに「からみあめ売り」に関する記述があり、引き出しのついた木製の台・天肩(てんこ)を担いで笛を吹く男性のスケッチもありました。
そこで、飴売りに関する図書を探したところ牛嶋英俊『飴と飴売りの文化史』(2009年 弦書房)を見つけました。この本には津軽地方の「カラミ飴屋」が紹介されていました。彼らは「テンコ箱」という箱を背負い、箱の上には子どもたちが喜ぶように風車や日の丸の小旗を立てていたといいます。そして、「ピピ」と呼ばれるチャルメラでわらべ歌などを吹いて子どもを集めたそうです。こうした特徴は写真の男性にもみられます。
つまり、写真は男性が笛を吹いて飴を売ることを知らせ、その音を聞いて子どもたちがやってきた場面を撮影したものと考えられます。子どもたちの表情からは楽しい雰囲気も伝わってきます。
また、この写真にはもう一つ特徴があります。それは、道路の両端に積み上げられた氷の塊です。これは春の訪れを告げる「雪切り」が行われたことを示しています。「雪切り」とは圧縮されて氷状になった道路の積雪をツルハシなどで割り、路面を出す作業のことで、3月中旬から下旬にかけて行われていました。
「からみあめ売り」も「雪切り」も今では見られなくなった光景です。工藤正市さんの写真から人々の暮らしの息づかいや季節の移り変わりを感じていただければと思います。
※山口晴温『季節の風物詩 物売りスケッチ』と牛嶋英俊『飴と飴売りの文化史』は市民図書館8階展示1にあります(貸出可)。なお、6月9日(水)は休館日となっております。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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登録の変更や利用停止の手続は、次の画面からどうぞ。
○青森市ホームページ
http://www.city.aomori.aomori.jp/mailmagazine-riyou.html
○携帯サイト「青森市mini」
http://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/keitai-mini/top/mailmagazine.html
-編集・発行-----------
企画部広報広聴課
青森市中央1-22-5
TEL:017-734-5106
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その写真は夜店通りの酒井金物店(現リビングショップサカイ)附近で撮影されたものです。中央には笛を吹く男性とその男性を見つめる二人の子どもが写っています。男性の横には引き出しのついた木製の台が置かれ、その台の上にはたくさんの日の丸の小旗が立っています。
私は男性がお菓子を売る行商人ではないかと考え、青森市の画家・山口晴温(やまぐち・せいおん)の『季節の風物詩 物売りスケッチ』(2006年 北の街社)をみてみました。すると、表紙に写真の男性と共通点のある行商人のスケッチがありました。それは「からみあめ売り」の姿を描いたものでした。さらにこの本を読み進めると、「取材雑観」のなかに「からみあめ売り」に関する記述があり、引き出しのついた木製の台・天肩(てんこ)を担いで笛を吹く男性のスケッチもありました。
そこで、飴売りに関する図書を探したところ牛嶋英俊『飴と飴売りの文化史』(2009年 弦書房)を見つけました。この本には津軽地方の「カラミ飴屋」が紹介されていました。彼らは「テンコ箱」という箱を背負い、箱の上には子どもたちが喜ぶように風車や日の丸の小旗を立てていたといいます。そして、「ピピ」と呼ばれるチャルメラでわらべ歌などを吹いて子どもを集めたそうです。こうした特徴は写真の男性にもみられます。
つまり、写真は男性が笛を吹いて飴を売ることを知らせ、その音を聞いて子どもたちがやってきた場面を撮影したものと考えられます。子どもたちの表情からは楽しい雰囲気も伝わってきます。
また、この写真にはもう一つ特徴があります。それは、道路の両端に積み上げられた氷の塊です。これは春の訪れを告げる「雪切り」が行われたことを示しています。「雪切り」とは圧縮されて氷状になった道路の積雪をツルハシなどで割り、路面を出す作業のことで、3月中旬から下旬にかけて行われていました。
「からみあめ売り」も「雪切り」も今では見られなくなった光景です。工藤正市さんの写真から人々の暮らしの息づかいや季節の移り変わりを感じていただければと思います。
※山口晴温『季節の風物詩 物売りスケッチ』と牛嶋英俊『飴と飴売りの文化史』は市民図書館8階展示1にあります(貸出可)。なお、6月9日(水)は休館日となっております。
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