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日本人の先祖観 20250605号

2025/06/05 (Thu) 08:00
■日本人の先祖観
 祖霊を祭祀することは我が国の固有の習俗です。先祖や祖先とは、既に亡くなった世代以前の血縁者全般のことや、直系の尊属を言う。また、祖先は血統や家系で最も最初に当たる人や、人類の祖先など遠い元となる過去の人を言う。
 「弔い上げ」とは、三十三回忌、五十回忌遠忌(おんき)などの忌日をもって「弔い上げ」または「問いきり」と言って、最後の回忌供養を行い、それ以後は年忌供養を営まないという習慣です。
 弔い上げを終えると、死者の年忌供養から外れて、以後‟先祖”と言う、集合体になるという考えです。
 それまで個人として死者の霊であったものが、祖霊に加わり「先祖の霊」という集合体になる。その先祖の霊を「ホトケ様」「カミ様」「ご先祖様」と言います。
 亡くなった人は子孫の祭祀を受けながら、死霊から清まって「ご先祖様」になり、神霊へと昇華します。「人は亡くなってある年限を過ぎると、それから後は御先祖さま、またはみたま様という一つの尊い霊体に、溶け込んでしまうものとしていたようである。」と民俗学者の柳田國男は著述しています。
 古代、氏神は祖先神であることが多かった。その血縁的集団を氏子と言っていた。現在、地縁的関係を産土神・産子と言うのが、次第に氏神・氏子と言うことが用いられ、伊勢神宮の天照大御神を日本人の総氏神とします。
 古くは正月と盆が先祖の祭の時でした。正月では年神サンや歳徳サンと言い、元は先祖であったと考えられ、年神棚に迎えます。盆はオショウライサマ(御精霊様)などと言い、盆の精霊棚に迎えました。
 昔は死者は遠く彼方へと旅立つのではなく、生前に家族と一緒に暮らしていた家を望むことのできる場所の小高い山。麓(ふもと)に近い峰の端。歳月と共に高い山に居るとの考えがありました。
 「吉相墓」は、石塔に戒名を刻入して、手厚く祀り、霊が宿り‟お墓は先祖”です。祀られた墓は霊が宿った、ご先祖様であり、父母であり、人なのです。
 先祖供養塔の五輪塔は、弔い上げ以後の先祖の集合体になった姿です。