常見陽平メルマガ『陽平界通信』 第345号 山崎豊子『運命の人』を見て考えたこと/「日本スゴイ」の時代
2025/07/09 (Wed) 08:26
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◆◆◆◆ 常見陽平メルマガ
◆◆◆ 『陽平界通信』第345号
◆◆ 2025.7.9配信
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今週のアウトライン
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1.巻頭言
山崎豊子『運命の人』
ジャーナリズム、沖縄を考える
2.記事傑作選
◇大学生の不安は「老後の生活費」
就活は「安定している会社」
◇試みの水平線 常見陽平の人生相談RADIO
3.ホンのひとこと
日本スゴイ論を考える
◆◆━━━━━━━
1.巻頭言
━━━━━━━◆◆
【山崎豊子『運命の人』
ジャーナリズム、沖縄を考える】
一昨日、娘が8歳になりました。
だんだん自立してきて、
しっかりものという感じです。
アプリでレシピを検索し、料理をつくる日々です。
昨日は人事関係者の交流会に
久々に参加しました。
よい再会、出会いがたくさんありました。
このメルマガを愛読している方もいて。
少しでも、息抜き、視点の提供につながればな、と。
今さら、サブスクでドラマを観るようになり。
先週はU-NEXTで山崎豊子『運命の人』をイッキ見でした。
本木雅弘主演で、2012年に
TBS「日曜劇場」でドラマ化されたものですね。
https://d.bmb.jp/9/1454/6403/XXXX
原作は山崎豊子の「生前」に出版された
最後の小説でして(没後に刊行された未完の遺作もあります)。
沖縄返還の密約に迫る
ジャーナリストを描いた作品です。
明らかに「西山事件」をもとにしたものでして。
「西山事件」とは
毎日新聞記者の西山太吉氏が、
日米間の沖縄返還密約に関する機密情報を
外務省女性職員から入手し報道したことで、
国家公務員法違反で起訴された事件ですね。
報道の自由と国家機密の関係、
取材方法の倫理など論点は多数ある事件です。
ちょうど30年くらい前に
大学のメディア論の前期ゼミ(山本武利先生)で
輪読した教科書に紹介されていて知りました。
弘兼憲史さんの『加治隆介の議』にも
モチーフにしたエピソードが出てきますね。
実際の西山事件でも、物語においても、
当初はジャーナリズムと国家権力との
関係が論点だったのが、
だんだんと新聞記者と
情報を漏らした外務省職員女性との
色恋沙汰にすり替わっていき。
実際、このドラマでも、
当事者や家族たちの葛藤の描写が
見事ではあるのですが。
主人公が沖縄に移住してからの
最終話沖縄編にぐっときて。
沖縄戦、基地問題、米兵による暴力
ヘリの事故など
沖縄をめぐる諸問題が凝縮されていました。
実際、これも沖縄で実際に起こった
事件をもとにしたもので。
戦後80年、昭和100年、
さらには選挙期間の今だからこそ
観てよかったなと思った作品でした。はい。
働く人の視点で考えると・・・。
「仕事」と「使命感」ということについて
考え・・・。
使命感をもった仕事を
しなければと思った次第です。
いま書いている原稿や、
大学で取り組んでいる仕事は
使命感に満ちている、かな。
このドラマの主人公が
沖縄返還の密約について
伝えたかったのは
別に、他社のライバル
(読売新聞の渡辺恒雄を
モデルにした人物が出てきます)
にスクープで負けないため
だけではなくて。
返還、本土復帰が実現したとしても
沖縄は政治に蹂躙されており
この密約で沖縄の人は救われるのか
という疑問、義憤、正義感からでした。
さ、今日は
数年かけて準備し、
この春スタートした、私がプロデュースし
責任者をしている「自分未来ゼミ」の
成果と課題を教職員で共有する勉強会です(FDですね)。
この科目ですね。
https://d.bmb.jp/9/1454/6404/XXXX
この科目がブレークし
他校にも広がると、日本は変わると信じています。
頑張りますね!
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
『50代上等!理不尽なことは
「週刊少年ジャンプ」から学んだ』
(常見陽平 平凡社新書)
https://d.bmb.jp/9/1454/6405/XXXX
をよろしくお願いします。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
朝日新聞デジタルでコメントをしております。
https://d.bmb.jp/9/1454/6406/XXXX
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ヤフージャパンでコメントをしております。
https://d.bmb.jp/9/1454/6407/XXXX
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2.記事傑作選
━━━━━━━━━◆◆
大学生が一番不安なことは「老後の生活費」
就活は「やりたい仕事」より「安定している会社」
https://d.bmb.jp/9/1454/6408/XXXX
試みの水平線 常見陽平の人生相談RADIO
(2025年7月7日放送分)
https://d.bmb.jp/9/1454/6409/XXXX
◆◆━━━━━━━━━━━
3.ホンのひとこと
━━━━━━━━━━━◆◆
【日本スゴイ論を考える】
ナショナリズムについて考える。
参議院選に関連し、排外主義が
問題となる今日このごろ。
ただ、ヘイトスピーチに代表される
差別、偏見の問題、
攻撃的、排外的なナショナリズムとは別に。
カジュアル化した、ソフト、ナチュラルな
ナショナリズムという問題もある。
その一つは
「日本スゴイ論」である。
この10年くらい、日常的に聞く話は
「田舎の父ちゃん、母ちゃんのネトウヨ化」である。
そう、実家に帰ると、両親、特に母親が
右翼、ネトウヨとまでいかなくても
「日本はスゴイ」
「日本は素晴らしい」
「日本は美しい」
論に妙に傾倒していたりする、と。
いや、いまどきテレビをかけっぱなしにしていて、
スマホでSNSを始めてみると、
そうなってもおかしくはない。
政治とは異なる場面で、
ナチュラルに、マイルドに
愛国心が醸成されていることがある。
早川タダノリの『「日本スゴイ」の時代
カジュアル化するナショナリズム』
(朝日新書)を手にとり考えたい。
https://d.bmb.jp/9/1454/6410/XXXX
「日本スゴイ」論について、
外国人が日本的な何かに感動する番組から、
クールジャパン、愛国心などについて
徹底的に検証したものである。
その圧倒的な情報量と慧眼に脱帽してしまう。
多くのテレビ番組を網羅的に検証している。
実際「日本スゴイ番組」の分析が秀逸で
思わず何度も膝を乱打してしまう。
なぜ訪日観光客は、あそこまで
日本食やウォッシュレットに感動するのか。
本当は何を言っているのかわからないのに
「いやあ、日本にきて、本当に驚いたよ」
「ウォッシュレット、最高さ。
もう、これなしの生活はありえないよ!」
的な全肯定の感動コメントは
本来であればツッコミどころ満載なのだが、
視聴は思わず見入ってしまう。
この本でも指摘されているが
吹き替えの声が大きすぎて
もともとの母国語の話は聞こえない。
本当は別のことを言っているのかもしれないのに
日本の文化、商品・サービスを全肯定する
外国人が画面にドアップになる。
・・・しかし、どうしてこう、
テレビ番組の外国人の吹き替えって
普段、普通の人が話さない言い回しなのかね。
この吹き替えばっかりやっている人が
いるのだろうな。
やや話は飛躍するが、雑誌のグラビアページに
「再現ドラマの女王」という異名をとる女性が
出ていて、なんだろう、この褒めているような
自虐のような肩書はと思ってしまった。
いや、それに魂かけているようなので、
いいのだけど。
このようなバラエティ番組以外にも
クールジャパン、教科書、政策など
縦横無尽に斬っていくのは痛快であり、
一方で、日常的に
「日本スゴイ」が刷り込まれていくことに愕然とする。
選挙期間であり、国際関係がざわつく今こそ、
手にとりたい一冊だ。
なぜ、ナショナリズム政党に
注目が集まるのか。
そんな現象を読み解く補助線にもなるだろう。
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皆さんからの人生相談メールを
お待ちしております。
件名に『人生相談』とご記入の上、
ペンネーム(実名も可)、
年齢(可能であれば)、
性別、相談内容をお送りください。
yoheitsunemi@gmail.comまで!
よろしくお願いします!
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配信停止等はこちらのURLからお願いします
https://d.bmb.jp/9/1454/6411/XXXX
発行人:常見陽平
お問い合わせ先 E-Mail
yoheitsunemi@gmail.com
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1.巻頭言
山崎豊子『運命の人』
ジャーナリズム、沖縄を考える
2.記事傑作選
◇大学生の不安は「老後の生活費」
就活は「安定している会社」
◇試みの水平線 常見陽平の人生相談RADIO
3.ホンのひとこと
日本スゴイ論を考える
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1.巻頭言
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【山崎豊子『運命の人』
ジャーナリズム、沖縄を考える】
一昨日、娘が8歳になりました。
だんだん自立してきて、
しっかりものという感じです。
アプリでレシピを検索し、料理をつくる日々です。
昨日は人事関係者の交流会に
久々に参加しました。
よい再会、出会いがたくさんありました。
このメルマガを愛読している方もいて。
少しでも、息抜き、視点の提供につながればな、と。
今さら、サブスクでドラマを観るようになり。
先週はU-NEXTで山崎豊子『運命の人』をイッキ見でした。
本木雅弘主演で、2012年に
TBS「日曜劇場」でドラマ化されたものですね。
https://d.bmb.jp/9/1454/6403/XXXX
原作は山崎豊子の「生前」に出版された
最後の小説でして(没後に刊行された未完の遺作もあります)。
沖縄返還の密約に迫る
ジャーナリストを描いた作品です。
明らかに「西山事件」をもとにしたものでして。
「西山事件」とは
毎日新聞記者の西山太吉氏が、
日米間の沖縄返還密約に関する機密情報を
外務省女性職員から入手し報道したことで、
国家公務員法違反で起訴された事件ですね。
報道の自由と国家機密の関係、
取材方法の倫理など論点は多数ある事件です。
ちょうど30年くらい前に
大学のメディア論の前期ゼミ(山本武利先生)で
輪読した教科書に紹介されていて知りました。
弘兼憲史さんの『加治隆介の議』にも
モチーフにしたエピソードが出てきますね。
実際の西山事件でも、物語においても、
当初はジャーナリズムと国家権力との
関係が論点だったのが、
だんだんと新聞記者と
情報を漏らした外務省職員女性との
色恋沙汰にすり替わっていき。
実際、このドラマでも、
当事者や家族たちの葛藤の描写が
見事ではあるのですが。
主人公が沖縄に移住してからの
最終話沖縄編にぐっときて。
沖縄戦、基地問題、米兵による暴力
ヘリの事故など
沖縄をめぐる諸問題が凝縮されていました。
実際、これも沖縄で実際に起こった
事件をもとにしたもので。
戦後80年、昭和100年、
さらには選挙期間の今だからこそ
観てよかったなと思った作品でした。はい。
働く人の視点で考えると・・・。
「仕事」と「使命感」ということについて
考え・・・。
使命感をもった仕事を
しなければと思った次第です。
いま書いている原稿や、
大学で取り組んでいる仕事は
使命感に満ちている、かな。
このドラマの主人公が
沖縄返還の密約について
伝えたかったのは
別に、他社のライバル
(読売新聞の渡辺恒雄を
モデルにした人物が出てきます)
にスクープで負けないため
だけではなくて。
返還、本土復帰が実現したとしても
沖縄は政治に蹂躙されており
この密約で沖縄の人は救われるのか
という疑問、義憤、正義感からでした。
さ、今日は
数年かけて準備し、
この春スタートした、私がプロデュースし
責任者をしている「自分未来ゼミ」の
成果と課題を教職員で共有する勉強会です(FDですね)。
この科目ですね。
https://d.bmb.jp/9/1454/6404/XXXX
この科目がブレークし
他校にも広がると、日本は変わると信じています。
頑張りますね!
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「週刊少年ジャンプ」から学んだ』
(常見陽平 平凡社新書)
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就活は「やりたい仕事」より「安定している会社」
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試みの水平線 常見陽平の人生相談RADIO
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3.ホンのひとこと
━━━━━━━━━━━◆◆
【日本スゴイ論を考える】
ナショナリズムについて考える。
参議院選に関連し、排外主義が
問題となる今日このごろ。
ただ、ヘイトスピーチに代表される
差別、偏見の問題、
攻撃的、排外的なナショナリズムとは別に。
カジュアル化した、ソフト、ナチュラルな
ナショナリズムという問題もある。
その一つは
「日本スゴイ論」である。
この10年くらい、日常的に聞く話は
「田舎の父ちゃん、母ちゃんのネトウヨ化」である。
そう、実家に帰ると、両親、特に母親が
右翼、ネトウヨとまでいかなくても
「日本はスゴイ」
「日本は素晴らしい」
「日本は美しい」
論に妙に傾倒していたりする、と。
いや、いまどきテレビをかけっぱなしにしていて、
スマホでSNSを始めてみると、
そうなってもおかしくはない。
政治とは異なる場面で、
ナチュラルに、マイルドに
愛国心が醸成されていることがある。
早川タダノリの『「日本スゴイ」の時代
カジュアル化するナショナリズム』
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「日本スゴイ」論について、
外国人が日本的な何かに感動する番組から、
クールジャパン、愛国心などについて
徹底的に検証したものである。
その圧倒的な情報量と慧眼に脱帽してしまう。
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実際「日本スゴイ番組」の分析が秀逸で
思わず何度も膝を乱打してしまう。
なぜ訪日観光客は、あそこまで
日本食やウォッシュレットに感動するのか。
本当は何を言っているのかわからないのに
「いやあ、日本にきて、本当に驚いたよ」
「ウォッシュレット、最高さ。
もう、これなしの生活はありえないよ!」
的な全肯定の感動コメントは
本来であればツッコミどころ満載なのだが、
視聴は思わず見入ってしまう。
この本でも指摘されているが
吹き替えの声が大きすぎて
もともとの母国語の話は聞こえない。
本当は別のことを言っているのかもしれないのに
日本の文化、商品・サービスを全肯定する
外国人が画面にドアップになる。
・・・しかし、どうしてこう、
テレビ番組の外国人の吹き替えって
普段、普通の人が話さない言い回しなのかね。
この吹き替えばっかりやっている人が
いるのだろうな。
やや話は飛躍するが、雑誌のグラビアページに
「再現ドラマの女王」という異名をとる女性が
出ていて、なんだろう、この褒めているような
自虐のような肩書はと思ってしまった。
いや、それに魂かけているようなので、
いいのだけど。
このようなバラエティ番組以外にも
クールジャパン、教科書、政策など
縦横無尽に斬っていくのは痛快であり、
一方で、日常的に
「日本スゴイ」が刷り込まれていくことに愕然とする。
選挙期間であり、国際関係がざわつく今こそ、
手にとりたい一冊だ。
なぜ、ナショナリズム政党に
注目が集まるのか。
そんな現象を読み解く補助線にもなるだろう。
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