常見陽平メルマガ『陽平界通信』 第351号 「わからない」「理解できない」ことを大切に/ヒップホップとのコラボ問題
2025/08/27 (Wed) 07:30
◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆◆◆ 常見陽平メルマガ
◆◆◆ 『陽平界通信』第351号
◆◆ 2025.8.27配信
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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今週のアウトライン
━━━━━━━━━━━━━◆◆◆
1.巻頭言
「わからない」「理解できない」ことを
大切にする。
2.記事傑作選
◇「人生という名のSL」
◇でたらめを大切にするということ
◇「キャラクターとして生きる」のは幸せなのか
◇今こそ確認したい、岡本太郎のメッセージ
3.僕の音楽
ヒップホップとのコラボ問題
◆◆━━━━━━━
1.巻頭言
━━━━━━━◆◆
【「わからない」「理解できない」 ことを
大切にする。】
私の 2 ヶ月半の長い夏休みも
折り返し地点に入りました。
石を投げないでください。
「夏休み」と言いつつも、
研究をしたり原稿を書いたり、
学内の仕事をしたりと、
まったくのんびりはしていません。
娘が一昨日まで夏休みでしたし。
義理の父、母の対応のために
急にクルマを出すことも多く。
せめて出張のタイミングに合わせて、
一人旅でも挟み込めないかなと
思っているところです。
映画に行く、ライブハウスに行く
書斎や研究室、スタジオで
なにかに取り組む時間を大切にしています。
そんな日々の中で、ふらりと
他の論者のトークイベントに出かけたり、
新進気鋭の著者や論者の本を読んだり、
あるいはメディア出演の様子を
チェックしたりもしています。
新しい才能に出会ってワクワクすることもあれば、
正直「理解できないなあ」と「なんだかな」
感じることもあります。
主張も、文体も、
さらには振る舞い、人前に出る時の服装も 。
いや、専門外のことは
分からなくて当然なのですが、
それでも「なぜそう考えるのだろう」
「なぜ、そうするのだろう」と気になるのです。
振る舞いに関していえば、
私は昔の文化人が大好きで、
人前に出るときは髪型や服装に
気を配るようにしています。
撮影がない取材でも
精一杯のおしゃれをして
臨みます。
来週も、ある賞の審査員を担当するのですが
この日に合わせて美容室の予約を入れました。
ちょっと気恥ずかしいのですが、
常にベストな姿で人前に立ちたいのです。
これは普段の講義でも同じです。
特に講演、トークショーに来てくださる方は、
ファンであったり、友人であったり、
ビジネスパートナーであったりしますから、
会ってがっかりさせたくないのです。
そして、おしゃれをわかっていない人が、
ラフな格好なんて言ってはいけません。
ラフな格好は甘えではないのです。
ここにも流儀があります。
SUGIZOさんの
「弾けない奴が、ラフに弾くと言うな」
という言葉を支持しています。
もちろん、私がデビューした頃から、
「ユニクロを愛用している」と公言して
人前に出る同世代の論者もいました。
ですから、私の方が「過剰」あるいは
「異常」だという見方もあるでしょう。
はい。
「著者である」
「論者である」
「文化人である」
「知識人である」
「チャーミングな大人である」
ということに、私はこだわっています。
一方、他者の主張や振る舞いを
「理解できない」と感じるのは、
自分の感覚が古い、ズレている、あるいは
常識の基盤が違う、というサインでもあります。
私がよく言う言葉で、このメルマガの
読者の方にはおなじみかもしれませんが
「非常識、ではなく、異常識」なのです。
結局、支持できるかどうかでいえば
支持できなくても、
理解しようと努めることは大切にしています。
若い人の言動や選択は、ときに奇異に映りますが、
よく見ればいちいち合理的です。
音楽だってそうです。
サビから始まる曲や、ギターソロのない曲。
私としては「なんだかなあ」と思うのですが、
それもまた時代に合っていて、
しっかり支持されているのです。
だからこそ、違和感を覚えたときこそ、
自分が古くなっていないかを考えます。
立ち止まって振り返る。
それもまた、夏休みの学びのひとつなのです。
「試みの水平線~
常見陽平の人生相談 RADIO ~」
という番組をやっております。
次は 9 月 1 日です。
人生相談のメール、お待ちしております 。
↓ YouTube のアーカイブです
https://d.bmb.jp/9/1454/6771/XXXX
・・・番組スポンサー、激しく募集しています。
お声がけをぜひ。
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いまのところの最新作
『50代上等!理不尽なことは
「週刊少年ジャンプ」から学んだ』
(常見陽平 平凡社新書)
https://d.bmb.jp/9/1454/6772/XXXX
をよろしくお願いします。
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朝日新聞デジタルでコメントをしております。
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2.記事傑作選
━━━━━━━━━◆◆
「人生という名のSL」と、
信頼できるお医者さんとの出会いと、
私の身体についてわかってしまったことについて
https://d.bmb.jp/9/1454/6775/XXXX
大長編タローマン
でたらめを大切にするということ
https://d.bmb.jp/9/1454/6776/XXXX
「キャラクターとして生きる」のは幸せなのか問題
https://d.bmb.jp/9/1454/6777/XXXX
映画版タローマンに行ってきた
今こそ確認したい、岡本太郎のメッセージ
人間臭さ、でたらめをやってみるということ
https://d.bmb.jp/9/1454/6778/XXXX
◆◆━━━━━━━━━
3.僕の音楽
━━━━━━━━━━◆◆
【ヒップホップとのコラボ問題】
オジー・オズボーンの逝去は、
ロック界における一大事件として報じられた。
もちろん、私も驚き、悲しんだ。
彼は生前、実際に逝去直前に
英国バーミンガムにて最後の大規模なライブを行い、
「 悪魔の玉座 」を思わせる椅子に
腰かけながらも圧倒的な歌唱を披露し、
観客の熱狂的な反響を呼んだ。
その直後だった。
このイベントには、世界各国のハードロック、
ヘヴィメタルの大物アーティストが集結した。
その中でも大きな注目を集めたのは、
エアロスミスのスティーブン・タイラーであった。
彼は近年、健康上の理由から
ツアーを中断していたが、
この舞台で劇的な復活を果たし、
観客を大いに感動させた。
この出来事を契機に、筆者は自身がしばらく
エアロスミスを聴いていなかったことに気づく。
かつてはカセットテープが
擦り切れるほど聴き込み、
十代の頃には彼らの楽曲をコピーし、
何度もライブに足を運んだ。
特に、MTV の企画で当選し、
当時のZepp Tokyo にて間近で
彼らのパフォーマンスを目撃した体験は、
私の音楽ファンとしての歩みの中でも
忘れられない思い出である。
改めて聴き直すと、エアロスミスは
ボーカルのスティーブン・タイラーと
ギタリスト のジョー・ペリーの
存在感が突出しているが、
他のメンバーも高い演奏力を有していることを
再認識させられる。
特にベーシストのトム・ハミルトンの
グルーヴ感あふれるプレイは、バンド全体を支え、
ときに攻撃的な推進力を生み出している。
また、バンドは 一時期、
ギタリストの脱退劇や
最近ではドラマーのジョーイ・クレイマーの
ツアー不参加などもあるものの
基本的には結成以来
ほぼ同一メンバーで活動を継続しており、
その点も特徴的である。
彼らのキャリアには名曲が数多く存在するが、
広く一般に認知されているのは、
映画『アルマゲドン』の主題歌
“I Don’t Want to Miss a Thing” および、
RUN - DMCとの コラボレーションによる
“Walk This Way” であろう。
前者は会社のカラオケで、
アラフィフの部長、課長が情熱的に歌うので、
若い人は「うざい」と感じるかもしれない。
「俺が地球と会社を救ってやる」と言わんばかりである。
後者はロックとヒップホップの融合を象徴する
歴史的共演であり、
ミュージック・ビデオにおいても、
壁を隔てて演奏する両者が合流する場面は、
スティーブン・タイラーの
ロック的な破壊力とともに強烈な印象を残した。
この試みは、
その後1990年代に台頭するラウドロックなど、
ラップを取り入れたロックのスタイルを
先駆的に示唆したものと位置づけられる。
ただし、もともとバンドの音楽性の中に
ラップ的要素を組み込むのと、
ヒップホップ・アーティストと
コラボレーションするのとは異なる。
前者はバンド自身の表現の一部であり、
後者はジャンルを超えた異文化の交差である。
エアロスミスとRUN-DMCの共演は、
まさに両者がそれぞれのらしさを堅持したまま
融合を実現したケースであった。
日本においても、
小沢健二とスチャダラパーによる
「今夜はブギー・バック」が
歴史に残るコラボとして記憶されている。
この曲も同様に、
両者がそれぞれのスタイルを崩さずに共演し、
結果として時代を象徴する名曲となった。
私自身も論者として、ミュージシャンとして
様々な人と共演してきた。
その現場に応じた柔軟な対応を行いつつも、
常にアイデンティティを重視している。
論者としては古典的な文化人を好み、
時に威厳を帯びた語り口を選びつつ、
ユーモアを忘れないことを心がけている。
ミュージシャンとしても、
ピアノロック、パンクロック、昭和歌謡など
複数のバンドに参加しているし、
様々なセッションに顔を出すのだが、
根底に流れる表現は常にハードロック的であり、
その音作りやステージングに一貫性が表れる。
仕事においても音楽活動においても、
「片手で握手し、片手で殴る」姿勢を
大事にしており、
協働と対立の緊張関係を
力強い創造へと昇華させることを心がけている。
この態度こそが、
ジャンルや立場を超えて共演する際の
基本的な流儀ではないか。
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皆さんからの人生相談メールを
お待ちしております。
件名に『人生相談』とご記入の上、
ペンネーム(実名も可)、
年齢(可能であれば)、
性別、相談内容をお送りください。
yoheitsunemi@gmail.comまで!
よろしくお願いします!
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配信停止等はこちらのURLからお願いします
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発行人:常見陽平
お問い合わせ先 E-Mail
yoheitsunemi@gmail.com
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「わからない」「理解できない」ことを
大切にする。
2.記事傑作選
◇「人生という名のSL」
◇でたらめを大切にするということ
◇「キャラクターとして生きる」のは幸せなのか
◇今こそ確認したい、岡本太郎のメッセージ
3.僕の音楽
ヒップホップとのコラボ問題
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1.巻頭言
━━━━━━━◆◆
【「わからない」「理解できない」 ことを
大切にする。】
私の 2 ヶ月半の長い夏休みも
折り返し地点に入りました。
石を投げないでください。
「夏休み」と言いつつも、
研究をしたり原稿を書いたり、
学内の仕事をしたりと、
まったくのんびりはしていません。
娘が一昨日まで夏休みでしたし。
義理の父、母の対応のために
急にクルマを出すことも多く。
せめて出張のタイミングに合わせて、
一人旅でも挟み込めないかなと
思っているところです。
映画に行く、ライブハウスに行く
書斎や研究室、スタジオで
なにかに取り組む時間を大切にしています。
そんな日々の中で、ふらりと
他の論者のトークイベントに出かけたり、
新進気鋭の著者や論者の本を読んだり、
あるいはメディア出演の様子を
チェックしたりもしています。
新しい才能に出会ってワクワクすることもあれば、
正直「理解できないなあ」と「なんだかな」
感じることもあります。
主張も、文体も、
さらには振る舞い、人前に出る時の服装も 。
いや、専門外のことは
分からなくて当然なのですが、
それでも「なぜそう考えるのだろう」
「なぜ、そうするのだろう」と気になるのです。
振る舞いに関していえば、
私は昔の文化人が大好きで、
人前に出るときは髪型や服装に
気を配るようにしています。
撮影がない取材でも
精一杯のおしゃれをして
臨みます。
来週も、ある賞の審査員を担当するのですが
この日に合わせて美容室の予約を入れました。
ちょっと気恥ずかしいのですが、
常にベストな姿で人前に立ちたいのです。
これは普段の講義でも同じです。
特に講演、トークショーに来てくださる方は、
ファンであったり、友人であったり、
ビジネスパートナーであったりしますから、
会ってがっかりさせたくないのです。
そして、おしゃれをわかっていない人が、
ラフな格好なんて言ってはいけません。
ラフな格好は甘えではないのです。
ここにも流儀があります。
SUGIZOさんの
「弾けない奴が、ラフに弾くと言うな」
という言葉を支持しています。
もちろん、私がデビューした頃から、
「ユニクロを愛用している」と公言して
人前に出る同世代の論者もいました。
ですから、私の方が「過剰」あるいは
「異常」だという見方もあるでしょう。
はい。
「著者である」
「論者である」
「文化人である」
「知識人である」
「チャーミングな大人である」
ということに、私はこだわっています。
一方、他者の主張や振る舞いを
「理解できない」と感じるのは、
自分の感覚が古い、ズレている、あるいは
常識の基盤が違う、というサインでもあります。
私がよく言う言葉で、このメルマガの
読者の方にはおなじみかもしれませんが
「非常識、ではなく、異常識」なのです。
結局、支持できるかどうかでいえば
支持できなくても、
理解しようと努めることは大切にしています。
若い人の言動や選択は、ときに奇異に映りますが、
よく見ればいちいち合理的です。
音楽だってそうです。
サビから始まる曲や、ギターソロのない曲。
私としては「なんだかなあ」と思うのですが、
それもまた時代に合っていて、
しっかり支持されているのです。
だからこそ、違和感を覚えたときこそ、
自分が古くなっていないかを考えます。
立ち止まって振り返る。
それもまた、夏休みの学びのひとつなのです。
「試みの水平線~
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次は 9 月 1 日です。
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『50代上等!理不尽なことは
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でたらめを大切にするということ
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今こそ確認したい、岡本太郎のメッセージ
人間臭さ、でたらめをやってみるということ
https://d.bmb.jp/9/1454/6778/XXXX
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3.僕の音楽
━━━━━━━━━━◆◆
【ヒップホップとのコラボ問題】
オジー・オズボーンの逝去は、
ロック界における一大事件として報じられた。
もちろん、私も驚き、悲しんだ。
彼は生前、実際に逝去直前に
英国バーミンガムにて最後の大規模なライブを行い、
「 悪魔の玉座 」を思わせる椅子に
腰かけながらも圧倒的な歌唱を披露し、
観客の熱狂的な反響を呼んだ。
その直後だった。
このイベントには、世界各国のハードロック、
ヘヴィメタルの大物アーティストが集結した。
その中でも大きな注目を集めたのは、
エアロスミスのスティーブン・タイラーであった。
彼は近年、健康上の理由から
ツアーを中断していたが、
この舞台で劇的な復活を果たし、
観客を大いに感動させた。
この出来事を契機に、筆者は自身がしばらく
エアロスミスを聴いていなかったことに気づく。
かつてはカセットテープが
擦り切れるほど聴き込み、
十代の頃には彼らの楽曲をコピーし、
何度もライブに足を運んだ。
特に、MTV の企画で当選し、
当時のZepp Tokyo にて間近で
彼らのパフォーマンスを目撃した体験は、
私の音楽ファンとしての歩みの中でも
忘れられない思い出である。
改めて聴き直すと、エアロスミスは
ボーカルのスティーブン・タイラーと
ギタリスト のジョー・ペリーの
存在感が突出しているが、
他のメンバーも高い演奏力を有していることを
再認識させられる。
特にベーシストのトム・ハミルトンの
グルーヴ感あふれるプレイは、バンド全体を支え、
ときに攻撃的な推進力を生み出している。
また、バンドは 一時期、
ギタリストの脱退劇や
最近ではドラマーのジョーイ・クレイマーの
ツアー不参加などもあるものの
基本的には結成以来
ほぼ同一メンバーで活動を継続しており、
その点も特徴的である。
彼らのキャリアには名曲が数多く存在するが、
広く一般に認知されているのは、
映画『アルマゲドン』の主題歌
“I Don’t Want to Miss a Thing” および、
RUN - DMCとの コラボレーションによる
“Walk This Way” であろう。
前者は会社のカラオケで、
アラフィフの部長、課長が情熱的に歌うので、
若い人は「うざい」と感じるかもしれない。
「俺が地球と会社を救ってやる」と言わんばかりである。
後者はロックとヒップホップの融合を象徴する
歴史的共演であり、
ミュージック・ビデオにおいても、
壁を隔てて演奏する両者が合流する場面は、
スティーブン・タイラーの
ロック的な破壊力とともに強烈な印象を残した。
この試みは、
その後1990年代に台頭するラウドロックなど、
ラップを取り入れたロックのスタイルを
先駆的に示唆したものと位置づけられる。
ただし、もともとバンドの音楽性の中に
ラップ的要素を組み込むのと、
ヒップホップ・アーティストと
コラボレーションするのとは異なる。
前者はバンド自身の表現の一部であり、
後者はジャンルを超えた異文化の交差である。
エアロスミスとRUN-DMCの共演は、
まさに両者がそれぞれのらしさを堅持したまま
融合を実現したケースであった。
日本においても、
小沢健二とスチャダラパーによる
「今夜はブギー・バック」が
歴史に残るコラボとして記憶されている。
この曲も同様に、
両者がそれぞれのスタイルを崩さずに共演し、
結果として時代を象徴する名曲となった。
私自身も論者として、ミュージシャンとして
様々な人と共演してきた。
その現場に応じた柔軟な対応を行いつつも、
常にアイデンティティを重視している。
論者としては古典的な文化人を好み、
時に威厳を帯びた語り口を選びつつ、
ユーモアを忘れないことを心がけている。
ミュージシャンとしても、
ピアノロック、パンクロック、昭和歌謡など
複数のバンドに参加しているし、
様々なセッションに顔を出すのだが、
根底に流れる表現は常にハードロック的であり、
その音作りやステージングに一貫性が表れる。
仕事においても音楽活動においても、
「片手で握手し、片手で殴る」姿勢を
大事にしており、
協働と対立の緊張関係を
力強い創造へと昇華させることを心がけている。
この態度こそが、
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