常見陽平メルマガ『陽平界通信』第402号 その瞬間を楽しみつくす/『みいちゃんと山田さん』アニメ化問題
2026/08/12 (Wed) 08:11
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◆◆◆◆ 常見陽平メルマガ
◆◆◆ 『陽平界通信』第402号
◆◆ 2026.8.12 配信
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今週のアウトライン
━━━━━━━━━━━━━◆◆◆
1.巻頭言
その瞬間は一瞬
そして「連れて行ってくれる存在」について
2.記事傑作選
◇夢論 なぜ、今の日本では
将来の夢について考えるのが辛いのか問題
◇映画『開戦前夜』で考えた、戦争と労働力
3. 人生相談バカ一代
キャンセル・カルチャーが気になる
◆◆━━━━━━━
1.巻頭言
━━━━━━━◆◆
【その瞬間は一瞬
そして「連れて行ってくれる存在」について】
残暑お見舞い申し上げます。
このところ、よく遊び、よく休み、
たまに働く日々を送っています。
昨日はビルボードライブ横浜で
SHAGのライブ。
その後、バウハウス六本木で
コピーバンドフェスでした。
SHAGは、
ゲストとして土屋昌巳さん、
勝井祐二さん(高校の先輩)、
田中邦和さんが出演。
大変に豪華でして。
ライブが終わった後に、
楽屋に挨拶に行き。
次のセットが始まる前に、
近くにあるピザハウスニコラスで
KenKen、別所和洋さん、松浦千昇さん、
スタッフの皆さんと食事しました。感激。
KenKenの言葉で
「音楽は、その瞬間にしかない」
というものがございまして。
彼は言葉を持っている人でして。
大好きな言葉の一つなのですけど。
彼は年中演奏していて。
大会場でも、小さなカフェやバーでも
様々な年齢の方と、多様なジャンルの音楽を
演奏していて。
その彼が言うから、大変に説得力があり。
私自身、
毎週のように(最近は毎日のように)
ロックバーやミュージックレストランに
通っています。
定番の曲というものもあるわけですが、
それでも毎回、発見と感動があり。
その日、その瞬間にしか出てこない
フレーズのようなものもあるわけです。
ミュージシャンの調子が悪いことや、
好きな曲をやってくれない日も正直あるわけですが
そのたびに「貴重な瞬間をみた」
と思っており。
音楽とは、そういうものなのだな、と。
いや、人生というのはそういうものかな、と。
ふと、大学時代の同級生の言葉を思い出しました。
「海外旅行も、留学もいいけれど、
ごく普通の大学生活を大事にしたい」
4年生になり、
残りの大学生活をどう過ごそうかという
話をしていたときのことです。
それも、その瞬間にしかないものです。
卒業して10年後くらいに、
チャットモンチーが
「サラバ青春」という曲で
「何でもない毎日が本当は
記念日だったって 今頃気づいたんだ
今頃気づいたんだ」と歌っており。
私は、夏休みを満喫しております。
端から見れば、のんびりした、あるいは
少しだらしない日々に見えるかもしれません。
でも、私なりに、
その瞬間を楽しんでいるのですよね。
子どもも夏休みでして。
子どもと一緒にいられる時間は、
いかにも親子の関係で過ごせる時間は、
人生で意外に短いわけで。
子どもも、私も、
その瞬間は一瞬なのですよね。
見落としちゃいけないな、と。
先日は、実に久しぶりに鎌倉の材木座海岸へ。
ビーチでのパーティー、素敵でした。
いつかは自分も出演したいな、と。
暑いし、雨や風などのリスクもある。
なかなか過酷な環境です。
楽器にとっても、決してよくありません。
それでも、そこでしか生まれない音、
その瞬間だけの感動があり。
今週末は2日連続で
オールナイトイベントでございます。
身体には優しくありませんが、
これまた、その夜、その場所にしか
存在しないものがあるのでしょう。
感動といえば、気づけばそれなりに
長い付き合いになった若い友人が、
交際中の彼について語ってくれたことも嬉しくて。
私、自分から恋愛の話を一切聞かない人でして。
セクハラ質問になりかねませんからね。
だからこそ、
「わあ、話してくれてありがとう」と。
妙に感動してしまいました。
そんな中、
いくつか大きなオファーもいただいています。
そのうちの一つが、音楽関連でして。
「あぁ、ついに、ここで演奏できるのね」と。
そして、自分の中で音楽が、
単なる趣味以外の何かになってきたのだな、
と感じています。
ミュージシャンとしての私が一皮むける瞬間に。
次のステージに立つ瞬間に。
できれば皆さんにも立ち会ってほしいな、と。
考えてみれば、人が変わる瞬間には、
どこかへ連れて行ってくれる人がいたりします。
導いてくれる人、背中を押してくれる人がいる。
大昔、
職場の同僚から言われた一言を思い出します。
カフェに誘われ、お茶をしていたときに・・・。
「数年後、ここがNYだったとしたら、
素敵だと思いません?」
と。
その直後、ラブホのライターで
タバコに火をつけたのには絶句しましたが。
でも、彼女のその一言は、
なぜかずっと耳にこびりついています。
そうか。
数年後、自分が思いもしなかった場所にいる
可能性だってあるのか、と。
大きなステージに立っている
可能性だってあるのだ、と。
今年は、自分を次のステージに
連れて行ってくれる人との出会い、
再会がたくさんあり。
ナイスなカメラマンとの出会いがありました。
アウトプットとしての写真も
もちろん素晴らしいのですが、
写真を撮影するプロセスで交わす会話から、
自分自身についての発見がたくさんありました。
ナイスな編集者さんとも仕事ができています。
誰かと仕事をすることは、ときに、
自分一人では行けなかった場所へ
連れて行ってもらうことなのかと。
そして先日、
実に久しぶりにジャケットを買いました。
バーゲンで。
ややくすんだ赤いジャケットです。
細かな仕上げ、仕立てが実にナイスでして。
服というものもまた、不思議なもので。
着るだけで、昨日までとは
少し違う自分になれることがあります。
この赤いジャケットもまた、
自分を次のステージに連れて行ってくれそうです。
はい。
その瞬間は一瞬です。
だから、見落とさないようにしたい。
人にも、音楽にも、仕事にも、服にも
連れて行ってもらいながら。
というわけで、新しいステージへ。
さて、
次はどこに。
楽しみです。
先日の吉田尚記さんとイベント、
多数の方にご来場頂きました。
楽しい時間でした。
アーカイブ配信中です。
神回です。ぜひ!
https://d.bmb.jp/9/1454/10719/XXXX
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最新作『日本の就活』(岩波新書)
https://d.bmb.jp/9/1454/10720/XXXX
をよろしくお願いします。
一昨年、リリースした
『50代上等!理不尽なことは
「週刊少年ジャンプ」から学んだ』
(平凡社新書)
https://d.bmb.jp/9/1454/10721/XXXX
もよろしくお願いします。
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朝日新聞デジタルでコメントをしております。
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2.記事傑作選
━━━━━━━━━◆◆
夢論 なぜ、今の日本では
将来の夢について考えるのが辛いのか問題
https://d.bmb.jp/9/1454/10724/XXXX
映画『開戦前夜』で考えた、戦争と労働力
https://d.bmb.jp/9/1454/10725/XXXX
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3.人生相談バカ一代
━━━━━━━━━━━━━◆◆
Q.『みいちゃんと山田さん』のアニメ化について
『みいちゃんと山田さん』のアニメ化について
論争が起こっていました。
問題作だとは思います。
ただ、作品も作者も攻撃され、
キャンセル・カルチャー
そのものだとも思いました。
常見さんはどうお感じになられましたか?
A.批判の「出口」を考えます。
私も、この論争は気になりました。
ここでは、批判の対象、出口
という観点から論じたいと思います。
『みいちゃんと山田さん』は、
老舗出版社の女性編集者から
すすめられて読みました。
重い作品です。いや、かなり重いです。
貧困、毒親、教育虐待、障がい、
性産業、搾取、孤独・孤立など、
日本社会の問題が
これでもかというほど詰まっています。
「自己責任」という便利な四文字では、
とても片づけられない世界です。
私自身、夫婦で読み、
娘が学校に行ったあとや寝たあとに
何度も話しました。
物事の見え方が変わる作品でした。
私たちにとっては
「問題提起」の作品だったのです。はい。
だからといって、この作品を
無条件で称賛すればいいとも思いません。
描写への批判は当然あり得ますし、
実際、起こっています。
もっとも、その描写も
あるページ、シーン単体で捉えるのか
全体を読んで解釈するのかで
異なりますけどね。
漫画として読むことと、
より広い層に届く
アニメーションになることでは意味が違う、
という議論も成り立ちます。
私も、アニメ化するなら、
誰にどう届けるのかは
丁寧に考える必要があると思い。
場合によっては、アニメ化によって
原作の問題提起そのものが薄められたり、
歪められたりする可能性もあります。
『みいちゃんと山田さん』批判
というのは、それ自体が実は多様でして。
そもそも、この作品は存在しちゃいけない、
漫画としても、である。
という批判と
あくまでアニメ化することに対する批判もあり。
さらには、担当編集者の声がネットに拡散し。
たしかに、それは露悪的なものでした。
私の立場を明らかにしておくと、
アニメ化すること自体は、作者や出版社、制作側など、
この作品に関わる人たちが決めることだと思っています。
ただし、誰に、どのような形で届けるのかは、
十分に考える必要があるでしょう。
アニメ化によって、原作が持っていた問題提起が
大きく書き換えられてしまうこともあります。
もちろん、漫画のアニメ化やドラマ化というものは、
原作を「捻じ曲げる」こともあれば、
逆に原作の世界観を広げ、
新しい作品として成功することもあります。
大事なのは・・・。
議論すればいいのです。
私はここが大事だと思っています。
その際に、同じ「批判」だったとしても
そのグラデーションを認識する、と。
「この描写には問題がある」と言うことと、
「こんな作品を描く作者は問題だ」と
言うことは同じではありません。
「私はこの作品を評価しない」と、
「この作品は世の中に存在してはいけない」も
違います。
「アニメ化には慎重な配慮が必要だ」と、
「アニメ化を許すな」のあいだにも、
かなり距離があります。
ところがSNSでは、
この距離が一瞬でなくなります。
ガソリン車というより、EVの加速です。
ここで「キャンセル・カルチャー」
という言葉が出てきます。
ただ、この言葉も
少し注意して使ったほうがいいでしょう。
差別的な表現への批判、広告への抗議、
不買運動、出演中止要求、辞任要求は、
それぞれ性質が違います。
何でも「キャンセル・カルチャー」で
片づけるのは雑です。
そもそも、表現の自由には
「批判されない権利」までは含まれていません。
「悪意はなかった」
「冗談だった」
「昔は普通だった」と言っても、
傷つけられた側の経験が
消えるわけではありません。
SNSによって、それまで埋もれていた声が
可視化されたことにも大きな意味があります。
ですから私は、「批判するな」と
言いたいわけではありません。
むしろ批判は必要です。
問題は、その批判がどこへ向かうのかです。
問題を改善するための批判なのか。
人間を社会から消すための批判なのか。
ここは明確に分けたほうがいいと思います。
SNSでは、一度
「差別主義者」「加害者」「問題人物」
という札が貼られると大変です。
私も今年、何度も
そんなご批判を頂き。
説明すれば「言い訳するな」
謝罪すれば「謝れば済むと思っているのか」
黙れば「逃げた」
何をしても許されない。
これでは、
批判というより処刑になってしまいます。
もちろん、
何でも許せと言っているのではありません。
悪質な差別、繰り返されるハラスメント、
権力を使った搾取もあり。
被害を受けた人に
「そろそろ許してあげたら」
と迫るのも違います。
許すかどうかは、
被害を受けた人が決めることです。
ただし、それと
社会全体が永久追放を決めることは別です。
責任にはグラデーションがあります。
刑事裁判は量刑を考えるのに、
「SNS裁判」だけがいつも極刑というのも
変な話です。
しかも、SNSの群衆は判決を言い渡したあと、
だいたい次の炎上案件へ移動します。
そもそも、この「論争」も
SNS上では、もう「鎮火」しているかのように
みえます。
批判された側には検索結果が残り、
評判を落とし、仕事を失うかもしれないのです。
私は、批判には「出口」が
必要だと思っています。
何が問題だったのか。
何を改めればいいのか。
何をすれば、変わったと認めるのか。
そこまで考えて、
批判は社会を変える力になります。
「声を上げること」の大切さがよく語られます。
それはその通りです。
ただ、同時に「声を聞くこと」は
どうなったのだろう、とも思います。
被害を訴える人の声を聞く。
批判する人の声を聞く。
そして、批判された側の説明も聞く。
「対話」という言葉は、
ずいぶん手垢がつきました。
でも、相手を黙らせるよりはマシです。
人を追い出せば、
問題がなくなるわけではありません。
その人が持っていた偏見も、問題を生んだ組織も、
社会の構造も残ります。
人を消すことと、
問題をなくすことは同じではありません。
批判できない社会は怖いです。
政治家や経営者や企業に対して、
誰も何も言えない社会なんて、ごめんです。
しかし同じくらい、一度批判されたら
二度と戻ってこられない社会も怖いです。
必要なのは、誰かをキャンセルする文化ではなく、
変化を促す文化なのではないでしょうか。
作品を消すより、作品について語る。
人を消すより、問題をなくす。
私は、そのほうが
社会は少しだけ賢くなると思っています。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
皆さんからの人生相談メールを
お待ちしております。
件名に『人生相談』とご記入の上、
ペンネーム(実名も可)、
年齢(可能であれば)、
性別、相談内容をお送りください。
yoheitsunemi@gmail.comまで!
よろしくお願いします!
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配信停止等はこちらのURLからお願いします
https://d.bmb.jp/9/1454/10726/XXXX
発行人:常見陽平
お問い合わせ先 E-Mail
yoheitsunemi@gmail.com
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1.巻頭言
その瞬間は一瞬
そして「連れて行ってくれる存在」について
2.記事傑作選
◇夢論 なぜ、今の日本では
将来の夢について考えるのが辛いのか問題
◇映画『開戦前夜』で考えた、戦争と労働力
3. 人生相談バカ一代
キャンセル・カルチャーが気になる
◆◆━━━━━━━
1.巻頭言
━━━━━━━◆◆
【その瞬間は一瞬
そして「連れて行ってくれる存在」について】
残暑お見舞い申し上げます。
このところ、よく遊び、よく休み、
たまに働く日々を送っています。
昨日はビルボードライブ横浜で
SHAGのライブ。
その後、バウハウス六本木で
コピーバンドフェスでした。
SHAGは、
ゲストとして土屋昌巳さん、
勝井祐二さん(高校の先輩)、
田中邦和さんが出演。
大変に豪華でして。
ライブが終わった後に、
楽屋に挨拶に行き。
次のセットが始まる前に、
近くにあるピザハウスニコラスで
KenKen、別所和洋さん、松浦千昇さん、
スタッフの皆さんと食事しました。感激。
KenKenの言葉で
「音楽は、その瞬間にしかない」
というものがございまして。
彼は言葉を持っている人でして。
大好きな言葉の一つなのですけど。
彼は年中演奏していて。
大会場でも、小さなカフェやバーでも
様々な年齢の方と、多様なジャンルの音楽を
演奏していて。
その彼が言うから、大変に説得力があり。
私自身、
毎週のように(最近は毎日のように)
ロックバーやミュージックレストランに
通っています。
定番の曲というものもあるわけですが、
それでも毎回、発見と感動があり。
その日、その瞬間にしか出てこない
フレーズのようなものもあるわけです。
ミュージシャンの調子が悪いことや、
好きな曲をやってくれない日も正直あるわけですが
そのたびに「貴重な瞬間をみた」
と思っており。
音楽とは、そういうものなのだな、と。
いや、人生というのはそういうものかな、と。
ふと、大学時代の同級生の言葉を思い出しました。
「海外旅行も、留学もいいけれど、
ごく普通の大学生活を大事にしたい」
4年生になり、
残りの大学生活をどう過ごそうかという
話をしていたときのことです。
それも、その瞬間にしかないものです。
卒業して10年後くらいに、
チャットモンチーが
「サラバ青春」という曲で
「何でもない毎日が本当は
記念日だったって 今頃気づいたんだ
今頃気づいたんだ」と歌っており。
私は、夏休みを満喫しております。
端から見れば、のんびりした、あるいは
少しだらしない日々に見えるかもしれません。
でも、私なりに、
その瞬間を楽しんでいるのですよね。
子どもも夏休みでして。
子どもと一緒にいられる時間は、
いかにも親子の関係で過ごせる時間は、
人生で意外に短いわけで。
子どもも、私も、
その瞬間は一瞬なのですよね。
見落としちゃいけないな、と。
先日は、実に久しぶりに鎌倉の材木座海岸へ。
ビーチでのパーティー、素敵でした。
いつかは自分も出演したいな、と。
暑いし、雨や風などのリスクもある。
なかなか過酷な環境です。
楽器にとっても、決してよくありません。
それでも、そこでしか生まれない音、
その瞬間だけの感動があり。
今週末は2日連続で
オールナイトイベントでございます。
身体には優しくありませんが、
これまた、その夜、その場所にしか
存在しないものがあるのでしょう。
感動といえば、気づけばそれなりに
長い付き合いになった若い友人が、
交際中の彼について語ってくれたことも嬉しくて。
私、自分から恋愛の話を一切聞かない人でして。
セクハラ質問になりかねませんからね。
だからこそ、
「わあ、話してくれてありがとう」と。
妙に感動してしまいました。
そんな中、
いくつか大きなオファーもいただいています。
そのうちの一つが、音楽関連でして。
「あぁ、ついに、ここで演奏できるのね」と。
そして、自分の中で音楽が、
単なる趣味以外の何かになってきたのだな、
と感じています。
ミュージシャンとしての私が一皮むける瞬間に。
次のステージに立つ瞬間に。
できれば皆さんにも立ち会ってほしいな、と。
考えてみれば、人が変わる瞬間には、
どこかへ連れて行ってくれる人がいたりします。
導いてくれる人、背中を押してくれる人がいる。
大昔、
職場の同僚から言われた一言を思い出します。
カフェに誘われ、お茶をしていたときに・・・。
「数年後、ここがNYだったとしたら、
素敵だと思いません?」
と。
その直後、ラブホのライターで
タバコに火をつけたのには絶句しましたが。
でも、彼女のその一言は、
なぜかずっと耳にこびりついています。
そうか。
数年後、自分が思いもしなかった場所にいる
可能性だってあるのか、と。
大きなステージに立っている
可能性だってあるのだ、と。
今年は、自分を次のステージに
連れて行ってくれる人との出会い、
再会がたくさんあり。
ナイスなカメラマンとの出会いがありました。
アウトプットとしての写真も
もちろん素晴らしいのですが、
写真を撮影するプロセスで交わす会話から、
自分自身についての発見がたくさんありました。
ナイスな編集者さんとも仕事ができています。
誰かと仕事をすることは、ときに、
自分一人では行けなかった場所へ
連れて行ってもらうことなのかと。
そして先日、
実に久しぶりにジャケットを買いました。
バーゲンで。
ややくすんだ赤いジャケットです。
細かな仕上げ、仕立てが実にナイスでして。
服というものもまた、不思議なもので。
着るだけで、昨日までとは
少し違う自分になれることがあります。
この赤いジャケットもまた、
自分を次のステージに連れて行ってくれそうです。
はい。
その瞬間は一瞬です。
だから、見落とさないようにしたい。
人にも、音楽にも、仕事にも、服にも
連れて行ってもらいながら。
というわけで、新しいステージへ。
さて、
次はどこに。
楽しみです。
先日の吉田尚記さんとイベント、
多数の方にご来場頂きました。
楽しい時間でした。
アーカイブ配信中です。
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「週刊少年ジャンプ」から学んだ』
(平凡社新書)
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━━━━━━━━━◆◆
夢論 なぜ、今の日本では
将来の夢について考えるのが辛いのか問題
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3.人生相談バカ一代
━━━━━━━━━━━━━◆◆
Q.『みいちゃんと山田さん』のアニメ化について
『みいちゃんと山田さん』のアニメ化について
論争が起こっていました。
問題作だとは思います。
ただ、作品も作者も攻撃され、
キャンセル・カルチャー
そのものだとも思いました。
常見さんはどうお感じになられましたか?
A.批判の「出口」を考えます。
私も、この論争は気になりました。
ここでは、批判の対象、出口
という観点から論じたいと思います。
『みいちゃんと山田さん』は、
老舗出版社の女性編集者から
すすめられて読みました。
重い作品です。いや、かなり重いです。
貧困、毒親、教育虐待、障がい、
性産業、搾取、孤独・孤立など、
日本社会の問題が
これでもかというほど詰まっています。
「自己責任」という便利な四文字では、
とても片づけられない世界です。
私自身、夫婦で読み、
娘が学校に行ったあとや寝たあとに
何度も話しました。
物事の見え方が変わる作品でした。
私たちにとっては
「問題提起」の作品だったのです。はい。
だからといって、この作品を
無条件で称賛すればいいとも思いません。
描写への批判は当然あり得ますし、
実際、起こっています。
もっとも、その描写も
あるページ、シーン単体で捉えるのか
全体を読んで解釈するのかで
異なりますけどね。
漫画として読むことと、
より広い層に届く
アニメーションになることでは意味が違う、
という議論も成り立ちます。
私も、アニメ化するなら、
誰にどう届けるのかは
丁寧に考える必要があると思い。
場合によっては、アニメ化によって
原作の問題提起そのものが薄められたり、
歪められたりする可能性もあります。
『みいちゃんと山田さん』批判
というのは、それ自体が実は多様でして。
そもそも、この作品は存在しちゃいけない、
漫画としても、である。
という批判と
あくまでアニメ化することに対する批判もあり。
さらには、担当編集者の声がネットに拡散し。
たしかに、それは露悪的なものでした。
私の立場を明らかにしておくと、
アニメ化すること自体は、作者や出版社、制作側など、
この作品に関わる人たちが決めることだと思っています。
ただし、誰に、どのような形で届けるのかは、
十分に考える必要があるでしょう。
アニメ化によって、原作が持っていた問題提起が
大きく書き換えられてしまうこともあります。
もちろん、漫画のアニメ化やドラマ化というものは、
原作を「捻じ曲げる」こともあれば、
逆に原作の世界観を広げ、
新しい作品として成功することもあります。
大事なのは・・・。
議論すればいいのです。
私はここが大事だと思っています。
その際に、同じ「批判」だったとしても
そのグラデーションを認識する、と。
「この描写には問題がある」と言うことと、
「こんな作品を描く作者は問題だ」と
言うことは同じではありません。
「私はこの作品を評価しない」と、
「この作品は世の中に存在してはいけない」も
違います。
「アニメ化には慎重な配慮が必要だ」と、
「アニメ化を許すな」のあいだにも、
かなり距離があります。
ところがSNSでは、
この距離が一瞬でなくなります。
ガソリン車というより、EVの加速です。
ここで「キャンセル・カルチャー」
という言葉が出てきます。
ただ、この言葉も
少し注意して使ったほうがいいでしょう。
差別的な表現への批判、広告への抗議、
不買運動、出演中止要求、辞任要求は、
それぞれ性質が違います。
何でも「キャンセル・カルチャー」で
片づけるのは雑です。
そもそも、表現の自由には
「批判されない権利」までは含まれていません。
「悪意はなかった」
「冗談だった」
「昔は普通だった」と言っても、
傷つけられた側の経験が
消えるわけではありません。
SNSによって、それまで埋もれていた声が
可視化されたことにも大きな意味があります。
ですから私は、「批判するな」と
言いたいわけではありません。
むしろ批判は必要です。
問題は、その批判がどこへ向かうのかです。
問題を改善するための批判なのか。
人間を社会から消すための批判なのか。
ここは明確に分けたほうがいいと思います。
SNSでは、一度
「差別主義者」「加害者」「問題人物」
という札が貼られると大変です。
私も今年、何度も
そんなご批判を頂き。
説明すれば「言い訳するな」
謝罪すれば「謝れば済むと思っているのか」
黙れば「逃げた」
何をしても許されない。
これでは、
批判というより処刑になってしまいます。
もちろん、
何でも許せと言っているのではありません。
悪質な差別、繰り返されるハラスメント、
権力を使った搾取もあり。
被害を受けた人に
「そろそろ許してあげたら」
と迫るのも違います。
許すかどうかは、
被害を受けた人が決めることです。
ただし、それと
社会全体が永久追放を決めることは別です。
責任にはグラデーションがあります。
刑事裁判は量刑を考えるのに、
「SNS裁判」だけがいつも極刑というのも
変な話です。
しかも、SNSの群衆は判決を言い渡したあと、
だいたい次の炎上案件へ移動します。
そもそも、この「論争」も
SNS上では、もう「鎮火」しているかのように
みえます。
批判された側には検索結果が残り、
評判を落とし、仕事を失うかもしれないのです。
私は、批判には「出口」が
必要だと思っています。
何が問題だったのか。
何を改めればいいのか。
何をすれば、変わったと認めるのか。
そこまで考えて、
批判は社会を変える力になります。
「声を上げること」の大切さがよく語られます。
それはその通りです。
ただ、同時に「声を聞くこと」は
どうなったのだろう、とも思います。
被害を訴える人の声を聞く。
批判する人の声を聞く。
そして、批判された側の説明も聞く。
「対話」という言葉は、
ずいぶん手垢がつきました。
でも、相手を黙らせるよりはマシです。
人を追い出せば、
問題がなくなるわけではありません。
その人が持っていた偏見も、問題を生んだ組織も、
社会の構造も残ります。
人を消すことと、
問題をなくすことは同じではありません。
批判できない社会は怖いです。
政治家や経営者や企業に対して、
誰も何も言えない社会なんて、ごめんです。
しかし同じくらい、一度批判されたら
二度と戻ってこられない社会も怖いです。
必要なのは、誰かをキャンセルする文化ではなく、
変化を促す文化なのではないでしょうか。
作品を消すより、作品について語る。
人を消すより、問題をなくす。
私は、そのほうが
社会は少しだけ賢くなると思っています。
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皆さんからの人生相談メールを
お待ちしております。
件名に『人生相談』とご記入の上、
ペンネーム(実名も可)、
年齢(可能であれば)、
性別、相談内容をお送りください。
yoheitsunemi@gmail.comまで!
よろしくお願いします!
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発行人:常見陽平
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