常見陽平メルマガ『陽平界通信』第286号 明治大学文学部と『大学ランキング2025』で考えた「就職に強い大学」の行方/書評連載スタート
2024/04/24 (Wed) 08:50
◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆◆◆ 常見陽平メルマガ
◆◆◆ 『陽平界通信』第286号
◆◆ 2024.4.24 配信
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今週のアウトライン
━━━━━━━━━━━━━◆◆◆
1.巻頭言
明治大学文学部と
『大学ランキング』で考えたこと
2.記事傑作選
◇働きやすい環境をつくる背景に“意識の変化”
◇「内定後推薦状」に気をつけろ
◇職場に増える「若年老害」上手な付き合い方
◇オワハラ今昔物語
3.書評 ほんのひとこと ←NEW!!!!!
料理の歴史を考える新書3冊
◆◆━━━━━━━
1.巻頭言
━━━━━━━◆◆
【明治大学文学部と
『大学ランキング』で考えたこと】
人生に「良き日」というものがあるのですよ。
『男はつらいよ』の名場面で
満男(吉岡秀隆)が
寅さん(渥美清)に
「人間って何のために生きてんのかなぁ?」
と質問するシーンがあります。
寅さんの答は
「難しいこと聞くな、お前は・・・何と言うかな、
あー生まれてきてよかった。
そう思うことが何べんかあるだろう。
人間そのために生きてんじゃねえのかな」
でした。
まさに、そんな日だったのですよ、
4月20日(土)は。
明治大学文学部で
教職員向けに講演しました。
学部の年度始めの
キックオフ的な教員懇談会に呼んで頂き。
これが実に気持ち良い時間、空間だったのです。
実は本学のエース職員、最年少課長の女性が
明治大学文学部の演劇専攻出身なのですよ。
最初の挨拶で
「◯◯を送り出して頂き有難うございます」と
お礼を述べたところ、拍手喝采でした。
会場とリモートのハイブリッド開催で
「会場、少ないかもしれませんよ」と
スタッフの方に言われていたのですが、
いい感じで埋まっていました。
なんせ、ポジティブなナイスな空気感でした。
知的で、情熱と愛がある、
そんな教職員たちだらけでした。
亡き父、孝が
北大の今でいう西洋史学研究室で
助手をしていた頃、重なっていた先生がいて。
研究室でオンライン参加していたそうなのですが、
「孝さんのお子さんだと気づき、
居ても立っても居られず、
会場に移動した」とのことで。
握手し、熱いものを感じました。
文学部の教職員に
就職関連の最新事情をお伝えするという
趣旨だったのですが、
皆さん、大変に勉強されていて。
文学部の教員として
ゼミ生が就活関連で大学を休むこと、
企業から「教授の推薦状をよこせ」と
言われたらどう対応するべきかなど、
日々、悩んでいる、と。
懇親会も含め、
ナイスな意見交換の場となりました。
ちょうど朝日新聞出版の『大学ランキング2025』の
見本誌が届いたあとの講演で。
https://d.bmb.jp/9/1454/4491/XXXX
大学研究家の倉部史記さんとの巻頭対談が
収録されているのですが。
これからの大学選びについて語っています。
手前味噌ですが、良記事だと自負しています。
まさに明治大学は
「就職の明治」と言われています。
勤務先の千葉商科大学も
「就職に強い」ことがウリなわけです。
このために、学生、教職員、さらには
応援して頂いている企業の皆様や、
卒業生がどれだけ頑張っているかは
理解しているつもりでございます。
「就職に強い」ということは簡単ではなく
「どうしても大手に行きたい」
という前のめり学生を応援することも
4年生の後半になっても内定がない学生を
支えることもあるわけで。
企業に頭を下げて、なんとか学生を
採ってもらえないかとお願いすることもあるわけです。
「就職に強い」は
小手先の就職対策だけでは実現せず
充実した学び、大学生活があってこそ、です。
その前提で問題提起しますが・・・。
「就職に強い」ということの価値、意味が
変わりつつあることも理解しなくてはなりません。
「就職に強い」とはどういうことを指すのか。
「就職」だけでなくその先の人生を
視野にいれたサポートになっているかどうか。
ビジネス週刊誌が組む
「就職に強い大学」の指標が
嘘っぱちであることは
もう誰もが気づいているわけです。
就職を諦めた人を分母、分子から抜いた数字が
「内定率」「就職率」として
公表されるわけですが、
そりゃ、100%に近くなるでしょうよ、と。
「偏差値帯の割に大手に入っている」
というような話も「就職に強い」ことの
根拠になり得ます。
「お得な大学」と評価する人もいるわけです。
実際、私自身、学部立ち上げから
これに、こだわってきました。
本学から入れっこなかった企業に学生を送り込んできました。
東洋経済新報社の
『就職四季報』が発売されるたびに
各社の採用実績のある大学名を
すべて読み込むというのが、
私の「儀式」です。
企業の採用動向をウォッチするだけでなく、
学生がチャレンジして内定しそうな企業を探す、と。
近い偏差値帯の大学から採用している企業を
リストアップし、学生と面談する際に
「ここも受けてみたら」とすすめる、と。
マイナビのフリーワード検索で大学名を検索し、
本学および同じ偏差値帯からの
採用実績がないかを調べるなどにも取り組みます。
「学校名無頓着企業」を探し、
学生を送り込む、と。
学生にとっては、成功体験になるわけで。
よりよい労働条件で働くことができるわけで。
奨学金も返しやすいわけで
(すみません、文体が
『北の国から』の純になっていますね)。
ご両親とも中卒、親族に大卒者がゼロで、
9割が就職するという高校出身の教え子が、
上京し、留学し、充実した学生生活をおくり。
上場企業に内定し。
「本当にこの大学を、学部を選んでよかったです」と
言われた瞬間は涙が出ました。
そんな体験を何度もしてきました。
一方、「就職だけ強い」大学になっても
ダメなわけです。
意地悪な言い方をすると
「偏差値、知名度の割に就職実績がよい」
という大学は
「こんなに就職に強いのに、
なぜ偏差値、知名度が上がらないのか」という
厳しい問いを浴びせられるわけです。
一般論として。
「石の上にも半年」「最初の一社」
という言葉が、学生も人事も口にする
時代です。
保護者の世代が考える「いい会社
(という言葉は、大学教職員は
絶対に使わない言葉なのですが)」も
尖った学生からは
「JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・
カンパニー)」
「GAFA予備校(外資系に転職する予備校)」
と揶揄される時代になりました。
「親孝行のために、
1年だけ日本の大手企業に入ってあげる」
という学生すらいる時代です。
「慶応を出て大手にいった自慢の息子」
になれる、と。
時代は「採用氷河期」です。
一生働き、一生学ぶ時代でございます
(好き、嫌いは別として)。
最初の一社の内定率、企業の規模や知名度
で競うこと、それを学校の強みとすることの
是非が問われています。
よく新卒一括採用か、中途採用重視かという
雑な議論が毎年、跋扈するわけですが、
企業はorではなくandで
それぞれ取り組んでいるわけです。
「最初の1社」として捉えた場合、
採用も人材育成も変わるわけで。
実際、変わっているわけで。
そう考えた際に大学が
学生を送り込むべき企業や
追うべき指標も変わるわけです。
「就職支援」だけでなく、
「学び」が問われるわけで。
さらにその「学び」のために、
過剰に加熱した採用活動からいかに
学生を守るかという点が大切なわけです。
明治大学さんは、
バンダイで人事をしていた頃から
ずっとお世話になっており。
明治大学さんのすごいところは
「企業に媚びない」ことです。
大手企業だろうと、人気企業だろうと、
それこそ明治大学の学生にとって
楽勝で入れるわけではない企業だろうと、
対等に接します
(これは、日本大学さんもそうで、
何かと叩かれる日大さんですが、
この点はよいことだなと思っています。
逆にバッシングの中、企業に媚びる大学に
なったら嫌だなあと)。
企業説明会の日程などでも、
人気企業、大手企業を優遇せず、
可能な日程が少なく、合わなかった企業は
情け容赦なく、呼ばない、と。
これは私が採用担当をしていた
約20年前から変わらないことで。
「電通鬼十則」風にいうと
「摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、
積極の肥料だ、でないと、
君は卑屈未練となる」を実践しているわけですな。
もし電通さんが断られたとしても、
文句は言えませんねえ。
まあ、大学の中には
ひたすら下手に出る大学もあり。
一方、大学によって付き合い方を
変える企業もあり。
バンダイの人事をしていた頃は
大学教職員のご挨拶訪問は、
飛び込みのものも含め、できるだけ
応じていましたし、大学にも訪問していましたが。
「やっと人間扱いされました」
と言われたことがあり。
いや、大学教職員が、「人間扱い」という
重い言葉を安易に言うんじゃないよと
言いそうになりましたが。
結構な有名校でも門前払いする企業、
雑に扱う企業があるのですね。
対等な関係、意識しましょうよ。
まあ、中には
「企業訪問のノルマがあるんです。
バンダイさん、常見さんのおかげで
やっと達成できます」
とバカ正直に話してくれた
大学教授もいて、絶句しましたけどね。
リクルートの飛び込み営業大会かよ。
明治大学文学部の教職員の皆様は
学生に対する愛、学問に対する情熱を感じる
教職員の皆様方で。
「学ぶ機会、成長する機会を守る」という
意志のある皆様で。
懇親会の立食パーティーも楽しく。
その場でも、鋭い質問が飛んできて
熱を感じました。
気づけば長文になっていました。
『大学ランキング』では、
倉部さんと熱い議論、
踏み込んだ話をしているので、
ぜひチェックしてくださいね。
なお、来週のメルマガはお休みです。
次回の送信は5月8日(水)の予定です。
GW、楽しくいきましょう。
原稿三昧の日々を送ります。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
朝日新聞デジタルでコメントをしております。
https://d.bmb.jp/9/1454/4492/XXXX
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
ヤフージャパンでコメントをしております。
https://d.bmb.jp/9/1454/4493/XXXX
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
◆◆━━━━━━━━━
2.記事傑作選
━━━━━━━━━◆◆
GW明けにスシローなど一斉休業
働きやすい環境をつくる背景にある
“意識の変化”【Nスタ解説】
https://d.bmb.jp/9/1454/4494/XXXX
「内定後推薦状」に気をつけろ
企業に「NO」を叫び始めた大学たち
https://d.bmb.jp/9/1454/4495/XXXX
職場に増える「若年老害」
20~40代でも昔話・自慢話・説教...
専門家がアドバイス
「若年老害との上手な付き合い方」とは
https://d.bmb.jp/9/1454/4496/XXXX
オワハラ今昔物語
https://d.bmb.jp/9/1454/4497/XXXX
!!!!!!NEW!!!!!
↓↓↓
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3.書評 ほんのひとこと
━━━━━━━━━━━━━━━◆◆
【料理の歴史を考える新書3冊】
毎週、日本のどこかにいる生活を
四半世紀にわたり、おくっている。
移動中に弁当を食べる機会も多い。
美味しさを噛み締めつつ、楽しみつつも、戸惑うのが
「おふくろの味」をウリにした弁当だ。
立派な鮭に、初期の村上春樹風にいうならば
「調教されたように整った」卵焼き、
「形而上学的な美しさを誇る
丁寧に仕上げられた」きんぴらごぼうなどなど。
これで「きりきりに冷えたビール」を
飲んだら、ハルキストだ。
さて、皆さんの「おふくろ」はこのような
豪勢で、美味しく、整った弁当を
毎日のように作ってくれただろうか
(・・・本当に作ってもらっていた
ご家庭もたまにあるのだけど)。
多くの場合は、これは捏造、偽造された
「おふくろの味」だ。
だいたい、普段、ごく普通の家庭で
食べているはずの弁当が
1,200円もすること自体、
間違っていないか。
「おふくろ」という言葉自体、
アップデートされていない。
この言葉は、男性しか使わない言葉だ。
何よりも、料理は母親の義務なのか。
不適切にもほどがある案件だ。
我が家は、ほぼすべての料理を私が
つくっている。
小学校に通う娘の弁当もだ。
ジェンダー平等が叫ばれる時代だが、
「パパの料理はいつも美味しいの」
と娘が言うと、ぎょっとするお友達や
ママ友も多数で。
時代は変わっているのか、いないのか。
昨年、話題となった湯澤規子の
『「おふくろの味」幻想~
誰が郷愁の味をつくったのか~』
(光文社新書)は、
文字通りこの記憶が書き換えられ、広がる
「おふくろの味」に斬り込んだ労作である。
https://d.bmb.jp/9/1454/4498/XXXX
なぜ、人々が「おふくろの味」にハマるのか。
ポテサラ、肉じゃがは、なぜ
「おふくろの味」を象徴するものとなったのか。
その答はここにすべて書いてある。
地方から都市への移動、
食材を売りたい農村・漁村の思惑など、
様々な要因が絡み合い、
雑誌、レシピ本なども加担し、
この「幻想」は広がっていた。
食を通じて、戦後日本社会を問い直す、
意欲的な一冊である。
食とは、生きていく上で必要なものであり、
人生を彩るものでもある。
一方、政治や経済の影響を受けるものでもある。
普段、美味しく食べているものには
グローバル資本主義や、ナショナリズムが
関係している。
様々な利害関係が絡み合った食、
その代表格が「給食」だ。
学校給食がどのように誕生し、発展してきたか。
その謎に迫ったのが藤原辰史の
『給食の歴史』(岩波新書)である。
https://d.bmb.jp/9/1454/4499/XXXX
給食とは子供の命を守る、教育としての食など
高度な理想を体現したものである一方で、
食料を合理的に消費する場であり、
子供の味覚に対する権力行使という側面もある。
その功罪、明暗を見事なまでに捉え、描いている。
貧困、災害、運動、教育、世界という
5つの切り口が秀逸だ。
「給食」の正体がわかる一冊だ。
そもそも私たちは何を食べ、何を避けてきたのか。
食に関する新書の最新作の一つであり、
ここ数年の最高傑作が
今月発売された澁川祐子による
『味な日本戦後史』
(集英社インターナショナル新書)である。
https://d.bmb.jp/9/1454/4500/XXXX
歴史、マーケティング、ライフスタイル、
大衆文化、さらには科学的アプローチなど、
様々な枠組みで「食」を捉えている。
なんせ、切り口が秀逸だ。
「うま味」「塩味」「甘味」「酸味」
「苦味」「辛味」「脂肪味」という章立てに
すでに「やられた感」がある。
ピンときた人もいるだろう。
私たちは、これらの味について
常に態度を変えてきた。
このメルマガの読者の中には
食品関係者も多いのだが、
しかも同社の関係者も多数いるのだが
空気読まずに書くと
「なぜ、味の素は身体に悪い」という言説が
何度も話題になるのか。
甘いものは美味しいのだが、
なぜ、いつの間にか「控える」ことが
支持されるようになったのか。
どの食材、調味料もそうだが
私たちは、科学的知識が不十分なまま
何度も「科学的」風な知識や言説をもとに
「身体によい・悪い」を論じてきた。
ある味を何度も肯定し、否定してきた。
「味」について私たちは
常に理想と幻想を抱きつつ接してきた。
膨大なデータ、ファクトを元に
私たちは戦後、どんな味を支持し、
批判してきたのかがわかる1冊だ。
今日も私たちは食事をする。
E.H.カーの
「歴史は現在と過去のあいだの対話である」
というフレーズを、我々は受験参考書で知り、
多くの人は原著も読まず、
なんとなく頭の片隅においていたのだが
食は常に現在と過去との対話の上で
成立している。
さて、私たちはこれから何を食べ、
何を支持し、何を嫌うのか。
私たちの日々の
「カルボナーラ食べちゃったぞ」的なSNS投稿が
貴重な資料となる日もくるのだろう。
【新連載のあとがき】
というわけで、
メルマガの新コーナーは書評でございます。
音楽、グルメ、本、データ・ファクト
が週替りの連載で、
人生相談が入った場合は、その都度、掲載です。
本、書評は大好きであるがゆえに、
あえてブログやメルマガでは
避けてきました。
北海道新聞で読書コラムを5年担当しており。
また、時事通信社で年に数回、
書評の執筆を依頼されることがあり。
他にも「今年の◯冊」の評者を
担当することもあり。
書評は大好きなんです。
ただ、人生において、
超えられない書評というものがあり。
いや、たとえば大学時代にお世話になった
楠木建先生の書評はいつも
いちいち面白かったりするのですけど。
他にも書評が書籍化している人もいるのですけど。
個人的な目標は実は、約20年前に、
トヨタ自動車とリクルートグループの合弁会社、
株式会社OJTソリューションズの
立ち上げに関わっていた頃の上司であり、
同社の初代企画部長だった
高橋英之さんの書評なんですよ。
当時、『日経ビジネスアソシエ』(現在休刊)という
ビジネス雑誌があり。
その書評コーナーの担当編集者が、
大学時代の同級生であり、
今をときめく、あの治部れんげさんだったのです。
彼女が新しい書評の書き手を探しており。
私、一応、すでに経営者や著者との
接点があったわけですけど。
ぱっと頭に浮かんだのが、
目の前にいた超絶読書家の上司、高橋さんでした。
まだ世の中で「1on1」という言葉が広がって
いなかった、2002~2004年に
毎週、高橋さんと私は30~60分ミーティングを
していたのですが。
ある日、
「常見くん、他になにかない?」
「あ、あの、高橋さん、雑誌で書評を担当しません?」
と持ちかけたのでした。
「常見くん・・・。面白ねぇ」と。
当時のOJTソリューションズには
神のような上司が二人おり。
企画部の高橋さんと、営業部の木村秀之さんで。
二人の神がかった仕事を至近距離で
出向期間の2年、見ることができたのは
人生における貴重な体験です。
あ、神のような上司2人の他、
仏のような上司もいて。
浅井司さんという方なのですが。
お世話になった間近で見た3人に限らず
私が接した神、仏たちの仕事ぶりについては
リクエストがあれば、どこかで書きますね。
高橋さんは、もういちいち書類も会議も完璧で。
そして、一見すると腰が低いものの、
あらゆる人たちに想いを伝え、
巻き込んでいく力が抜群でした。
京大ヨット部、理学部で類人猿研究、
赤い銀行出身で、MIT留学、NY勤務・・・。
人生経験豊富で、振れ幅が大きい人でした。
上司に書評を書いてもらうという
発想をした私もすごいのですし、
拾ってくれた治部さん、日経BP社もすごいですけど。
彼の書評が凄まじく面白く。
見開きで2400字くらいの文字数で、
1つのテーマで数冊紹介するのです。
その紹介する振れ幅が大で。いや、大胆で。
たとえば「事実」というテーマで
数冊紹介する場合、
ジャーナリストやメディア研究者が書いた本を
紹介しつつも、最初の1冊が
「デッサン」に関する本だったりするのです。
デッサンをする人は、
「事実」をどう捉えるかという話なんですよね。
たとえば、りんごをどのように捉えるか、と。
単純な赤ではないし、
Apple社のロゴみたいでもないだろう、と。
「書評」が「仕事」になった今でも、
彼のようなものが書けるのか、試行錯誤中です。
はい。
こんなふうにテーマを決めて数冊、
月に1回ご紹介します。
今回は高橋さんのような振れ幅ではなく、
「食」「新書」に絞って紹介しました。
あ、著者、編集者の皆様、御恵投
いつも感謝です。
メルマガなり、連載なり、SNSなりで
なんらかのかたちでご紹介したく思っています。
ただ、必ずご紹介するわけではありません。
すみません。
私、友人・知人の本を紹介する際は、
突然紹介します。
「次の◯◯でご紹介しますね」
なんてご挨拶は絶対しません。
評価するのは私ですし、
友人・知人の本だからではなく、
紹介するべき本だから書評を書くわけで。
で、今年は他の著者との
対談(可能であればイベント)の機会など
頂けると大変にありがたいです。はい。
その前に、お前が書けという話ですね。はい。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
皆さんからの人生相談メールを
お待ちしております。
件名に『人生相談』とご記入の上、
ペンネーム(実名も可)、
年齢(可能であれば)、
性別、相談内容をお送りください。
yoheitsunemi@gmail.comまで!
よろしくお願いします!
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
配信停止等はこちらのURLからお願いします
https://d.bmb.jp/9/1454/4501/XXXX
発行人:常見陽平
お問い合わせ先 E-Mail
yoheitsunemi@gmail.com
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
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◆◆ 2024.4.24 配信
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1.巻頭言
明治大学文学部と
『大学ランキング』で考えたこと
2.記事傑作選
◇働きやすい環境をつくる背景に“意識の変化”
◇「内定後推薦状」に気をつけろ
◇職場に増える「若年老害」上手な付き合い方
◇オワハラ今昔物語
3.書評 ほんのひとこと ←NEW!!!!!
料理の歴史を考える新書3冊
◆◆━━━━━━━
1.巻頭言
━━━━━━━◆◆
【明治大学文学部と
『大学ランキング』で考えたこと】
人生に「良き日」というものがあるのですよ。
『男はつらいよ』の名場面で
満男(吉岡秀隆)が
寅さん(渥美清)に
「人間って何のために生きてんのかなぁ?」
と質問するシーンがあります。
寅さんの答は
「難しいこと聞くな、お前は・・・何と言うかな、
あー生まれてきてよかった。
そう思うことが何べんかあるだろう。
人間そのために生きてんじゃねえのかな」
でした。
まさに、そんな日だったのですよ、
4月20日(土)は。
明治大学文学部で
教職員向けに講演しました。
学部の年度始めの
キックオフ的な教員懇談会に呼んで頂き。
これが実に気持ち良い時間、空間だったのです。
実は本学のエース職員、最年少課長の女性が
明治大学文学部の演劇専攻出身なのですよ。
最初の挨拶で
「◯◯を送り出して頂き有難うございます」と
お礼を述べたところ、拍手喝采でした。
会場とリモートのハイブリッド開催で
「会場、少ないかもしれませんよ」と
スタッフの方に言われていたのですが、
いい感じで埋まっていました。
なんせ、ポジティブなナイスな空気感でした。
知的で、情熱と愛がある、
そんな教職員たちだらけでした。
亡き父、孝が
北大の今でいう西洋史学研究室で
助手をしていた頃、重なっていた先生がいて。
研究室でオンライン参加していたそうなのですが、
「孝さんのお子さんだと気づき、
居ても立っても居られず、
会場に移動した」とのことで。
握手し、熱いものを感じました。
文学部の教職員に
就職関連の最新事情をお伝えするという
趣旨だったのですが、
皆さん、大変に勉強されていて。
文学部の教員として
ゼミ生が就活関連で大学を休むこと、
企業から「教授の推薦状をよこせ」と
言われたらどう対応するべきかなど、
日々、悩んでいる、と。
懇親会も含め、
ナイスな意見交換の場となりました。
ちょうど朝日新聞出版の『大学ランキング2025』の
見本誌が届いたあとの講演で。
https://d.bmb.jp/9/1454/4491/XXXX
大学研究家の倉部史記さんとの巻頭対談が
収録されているのですが。
これからの大学選びについて語っています。
手前味噌ですが、良記事だと自負しています。
まさに明治大学は
「就職の明治」と言われています。
勤務先の千葉商科大学も
「就職に強い」ことがウリなわけです。
このために、学生、教職員、さらには
応援して頂いている企業の皆様や、
卒業生がどれだけ頑張っているかは
理解しているつもりでございます。
「就職に強い」ということは簡単ではなく
「どうしても大手に行きたい」
という前のめり学生を応援することも
4年生の後半になっても内定がない学生を
支えることもあるわけで。
企業に頭を下げて、なんとか学生を
採ってもらえないかとお願いすることもあるわけです。
「就職に強い」は
小手先の就職対策だけでは実現せず
充実した学び、大学生活があってこそ、です。
その前提で問題提起しますが・・・。
「就職に強い」ということの価値、意味が
変わりつつあることも理解しなくてはなりません。
「就職に強い」とはどういうことを指すのか。
「就職」だけでなくその先の人生を
視野にいれたサポートになっているかどうか。
ビジネス週刊誌が組む
「就職に強い大学」の指標が
嘘っぱちであることは
もう誰もが気づいているわけです。
就職を諦めた人を分母、分子から抜いた数字が
「内定率」「就職率」として
公表されるわけですが、
そりゃ、100%に近くなるでしょうよ、と。
「偏差値帯の割に大手に入っている」
というような話も「就職に強い」ことの
根拠になり得ます。
「お得な大学」と評価する人もいるわけです。
実際、私自身、学部立ち上げから
これに、こだわってきました。
本学から入れっこなかった企業に学生を送り込んできました。
東洋経済新報社の
『就職四季報』が発売されるたびに
各社の採用実績のある大学名を
すべて読み込むというのが、
私の「儀式」です。
企業の採用動向をウォッチするだけでなく、
学生がチャレンジして内定しそうな企業を探す、と。
近い偏差値帯の大学から採用している企業を
リストアップし、学生と面談する際に
「ここも受けてみたら」とすすめる、と。
マイナビのフリーワード検索で大学名を検索し、
本学および同じ偏差値帯からの
採用実績がないかを調べるなどにも取り組みます。
「学校名無頓着企業」を探し、
学生を送り込む、と。
学生にとっては、成功体験になるわけで。
よりよい労働条件で働くことができるわけで。
奨学金も返しやすいわけで
(すみません、文体が
『北の国から』の純になっていますね)。
ご両親とも中卒、親族に大卒者がゼロで、
9割が就職するという高校出身の教え子が、
上京し、留学し、充実した学生生活をおくり。
上場企業に内定し。
「本当にこの大学を、学部を選んでよかったです」と
言われた瞬間は涙が出ました。
そんな体験を何度もしてきました。
一方、「就職だけ強い」大学になっても
ダメなわけです。
意地悪な言い方をすると
「偏差値、知名度の割に就職実績がよい」
という大学は
「こんなに就職に強いのに、
なぜ偏差値、知名度が上がらないのか」という
厳しい問いを浴びせられるわけです。
一般論として。
「石の上にも半年」「最初の一社」
という言葉が、学生も人事も口にする
時代です。
保護者の世代が考える「いい会社
(という言葉は、大学教職員は
絶対に使わない言葉なのですが)」も
尖った学生からは
「JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・
カンパニー)」
「GAFA予備校(外資系に転職する予備校)」
と揶揄される時代になりました。
「親孝行のために、
1年だけ日本の大手企業に入ってあげる」
という学生すらいる時代です。
「慶応を出て大手にいった自慢の息子」
になれる、と。
時代は「採用氷河期」です。
一生働き、一生学ぶ時代でございます
(好き、嫌いは別として)。
最初の一社の内定率、企業の規模や知名度
で競うこと、それを学校の強みとすることの
是非が問われています。
よく新卒一括採用か、中途採用重視かという
雑な議論が毎年、跋扈するわけですが、
企業はorではなくandで
それぞれ取り組んでいるわけです。
「最初の1社」として捉えた場合、
採用も人材育成も変わるわけで。
実際、変わっているわけで。
そう考えた際に大学が
学生を送り込むべき企業や
追うべき指標も変わるわけです。
「就職支援」だけでなく、
「学び」が問われるわけで。
さらにその「学び」のために、
過剰に加熱した採用活動からいかに
学生を守るかという点が大切なわけです。
明治大学さんは、
バンダイで人事をしていた頃から
ずっとお世話になっており。
明治大学さんのすごいところは
「企業に媚びない」ことです。
大手企業だろうと、人気企業だろうと、
それこそ明治大学の学生にとって
楽勝で入れるわけではない企業だろうと、
対等に接します
(これは、日本大学さんもそうで、
何かと叩かれる日大さんですが、
この点はよいことだなと思っています。
逆にバッシングの中、企業に媚びる大学に
なったら嫌だなあと)。
企業説明会の日程などでも、
人気企業、大手企業を優遇せず、
可能な日程が少なく、合わなかった企業は
情け容赦なく、呼ばない、と。
これは私が採用担当をしていた
約20年前から変わらないことで。
「電通鬼十則」風にいうと
「摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、
積極の肥料だ、でないと、
君は卑屈未練となる」を実践しているわけですな。
もし電通さんが断られたとしても、
文句は言えませんねえ。
まあ、大学の中には
ひたすら下手に出る大学もあり。
一方、大学によって付き合い方を
変える企業もあり。
バンダイの人事をしていた頃は
大学教職員のご挨拶訪問は、
飛び込みのものも含め、できるだけ
応じていましたし、大学にも訪問していましたが。
「やっと人間扱いされました」
と言われたことがあり。
いや、大学教職員が、「人間扱い」という
重い言葉を安易に言うんじゃないよと
言いそうになりましたが。
結構な有名校でも門前払いする企業、
雑に扱う企業があるのですね。
対等な関係、意識しましょうよ。
まあ、中には
「企業訪問のノルマがあるんです。
バンダイさん、常見さんのおかげで
やっと達成できます」
とバカ正直に話してくれた
大学教授もいて、絶句しましたけどね。
リクルートの飛び込み営業大会かよ。
明治大学文学部の教職員の皆様は
学生に対する愛、学問に対する情熱を感じる
教職員の皆様方で。
「学ぶ機会、成長する機会を守る」という
意志のある皆様で。
懇親会の立食パーティーも楽しく。
その場でも、鋭い質問が飛んできて
熱を感じました。
気づけば長文になっていました。
『大学ランキング』では、
倉部さんと熱い議論、
踏み込んだ話をしているので、
ぜひチェックしてくださいね。
なお、来週のメルマガはお休みです。
次回の送信は5月8日(水)の予定です。
GW、楽しくいきましょう。
原稿三昧の日々を送ります。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
朝日新聞デジタルでコメントをしております。
https://d.bmb.jp/9/1454/4492/XXXX
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ヤフージャパンでコメントをしております。
https://d.bmb.jp/9/1454/4493/XXXX
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2.記事傑作選
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GW明けにスシローなど一斉休業
働きやすい環境をつくる背景にある
“意識の変化”【Nスタ解説】
https://d.bmb.jp/9/1454/4494/XXXX
「内定後推薦状」に気をつけろ
企業に「NO」を叫び始めた大学たち
https://d.bmb.jp/9/1454/4495/XXXX
職場に増える「若年老害」
20~40代でも昔話・自慢話・説教...
専門家がアドバイス
「若年老害との上手な付き合い方」とは
https://d.bmb.jp/9/1454/4496/XXXX
オワハラ今昔物語
https://d.bmb.jp/9/1454/4497/XXXX
!!!!!!NEW!!!!!
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3.書評 ほんのひとこと
━━━━━━━━━━━━━━━◆◆
【料理の歴史を考える新書3冊】
毎週、日本のどこかにいる生活を
四半世紀にわたり、おくっている。
移動中に弁当を食べる機会も多い。
美味しさを噛み締めつつ、楽しみつつも、戸惑うのが
「おふくろの味」をウリにした弁当だ。
立派な鮭に、初期の村上春樹風にいうならば
「調教されたように整った」卵焼き、
「形而上学的な美しさを誇る
丁寧に仕上げられた」きんぴらごぼうなどなど。
これで「きりきりに冷えたビール」を
飲んだら、ハルキストだ。
さて、皆さんの「おふくろ」はこのような
豪勢で、美味しく、整った弁当を
毎日のように作ってくれただろうか
(・・・本当に作ってもらっていた
ご家庭もたまにあるのだけど)。
多くの場合は、これは捏造、偽造された
「おふくろの味」だ。
だいたい、普段、ごく普通の家庭で
食べているはずの弁当が
1,200円もすること自体、
間違っていないか。
「おふくろ」という言葉自体、
アップデートされていない。
この言葉は、男性しか使わない言葉だ。
何よりも、料理は母親の義務なのか。
不適切にもほどがある案件だ。
我が家は、ほぼすべての料理を私が
つくっている。
小学校に通う娘の弁当もだ。
ジェンダー平等が叫ばれる時代だが、
「パパの料理はいつも美味しいの」
と娘が言うと、ぎょっとするお友達や
ママ友も多数で。
時代は変わっているのか、いないのか。
昨年、話題となった湯澤規子の
『「おふくろの味」幻想~
誰が郷愁の味をつくったのか~』
(光文社新書)は、
文字通りこの記憶が書き換えられ、広がる
「おふくろの味」に斬り込んだ労作である。
https://d.bmb.jp/9/1454/4498/XXXX
なぜ、人々が「おふくろの味」にハマるのか。
ポテサラ、肉じゃがは、なぜ
「おふくろの味」を象徴するものとなったのか。
その答はここにすべて書いてある。
地方から都市への移動、
食材を売りたい農村・漁村の思惑など、
様々な要因が絡み合い、
雑誌、レシピ本なども加担し、
この「幻想」は広がっていた。
食を通じて、戦後日本社会を問い直す、
意欲的な一冊である。
食とは、生きていく上で必要なものであり、
人生を彩るものでもある。
一方、政治や経済の影響を受けるものでもある。
普段、美味しく食べているものには
グローバル資本主義や、ナショナリズムが
関係している。
様々な利害関係が絡み合った食、
その代表格が「給食」だ。
学校給食がどのように誕生し、発展してきたか。
その謎に迫ったのが藤原辰史の
『給食の歴史』(岩波新書)である。
https://d.bmb.jp/9/1454/4499/XXXX
給食とは子供の命を守る、教育としての食など
高度な理想を体現したものである一方で、
食料を合理的に消費する場であり、
子供の味覚に対する権力行使という側面もある。
その功罪、明暗を見事なまでに捉え、描いている。
貧困、災害、運動、教育、世界という
5つの切り口が秀逸だ。
「給食」の正体がわかる一冊だ。
そもそも私たちは何を食べ、何を避けてきたのか。
食に関する新書の最新作の一つであり、
ここ数年の最高傑作が
今月発売された澁川祐子による
『味な日本戦後史』
(集英社インターナショナル新書)である。
https://d.bmb.jp/9/1454/4500/XXXX
歴史、マーケティング、ライフスタイル、
大衆文化、さらには科学的アプローチなど、
様々な枠組みで「食」を捉えている。
なんせ、切り口が秀逸だ。
「うま味」「塩味」「甘味」「酸味」
「苦味」「辛味」「脂肪味」という章立てに
すでに「やられた感」がある。
ピンときた人もいるだろう。
私たちは、これらの味について
常に態度を変えてきた。
このメルマガの読者の中には
食品関係者も多いのだが、
しかも同社の関係者も多数いるのだが
空気読まずに書くと
「なぜ、味の素は身体に悪い」という言説が
何度も話題になるのか。
甘いものは美味しいのだが、
なぜ、いつの間にか「控える」ことが
支持されるようになったのか。
どの食材、調味料もそうだが
私たちは、科学的知識が不十分なまま
何度も「科学的」風な知識や言説をもとに
「身体によい・悪い」を論じてきた。
ある味を何度も肯定し、否定してきた。
「味」について私たちは
常に理想と幻想を抱きつつ接してきた。
膨大なデータ、ファクトを元に
私たちは戦後、どんな味を支持し、
批判してきたのかがわかる1冊だ。
今日も私たちは食事をする。
E.H.カーの
「歴史は現在と過去のあいだの対話である」
というフレーズを、我々は受験参考書で知り、
多くの人は原著も読まず、
なんとなく頭の片隅においていたのだが
食は常に現在と過去との対話の上で
成立している。
さて、私たちはこれから何を食べ、
何を支持し、何を嫌うのか。
私たちの日々の
「カルボナーラ食べちゃったぞ」的なSNS投稿が
貴重な資料となる日もくるのだろう。
【新連載のあとがき】
というわけで、
メルマガの新コーナーは書評でございます。
音楽、グルメ、本、データ・ファクト
が週替りの連載で、
人生相談が入った場合は、その都度、掲載です。
本、書評は大好きであるがゆえに、
あえてブログやメルマガでは
避けてきました。
北海道新聞で読書コラムを5年担当しており。
また、時事通信社で年に数回、
書評の執筆を依頼されることがあり。
他にも「今年の◯冊」の評者を
担当することもあり。
書評は大好きなんです。
ただ、人生において、
超えられない書評というものがあり。
いや、たとえば大学時代にお世話になった
楠木建先生の書評はいつも
いちいち面白かったりするのですけど。
他にも書評が書籍化している人もいるのですけど。
個人的な目標は実は、約20年前に、
トヨタ自動車とリクルートグループの合弁会社、
株式会社OJTソリューションズの
立ち上げに関わっていた頃の上司であり、
同社の初代企画部長だった
高橋英之さんの書評なんですよ。
当時、『日経ビジネスアソシエ』(現在休刊)という
ビジネス雑誌があり。
その書評コーナーの担当編集者が、
大学時代の同級生であり、
今をときめく、あの治部れんげさんだったのです。
彼女が新しい書評の書き手を探しており。
私、一応、すでに経営者や著者との
接点があったわけですけど。
ぱっと頭に浮かんだのが、
目の前にいた超絶読書家の上司、高橋さんでした。
まだ世の中で「1on1」という言葉が広がって
いなかった、2002~2004年に
毎週、高橋さんと私は30~60分ミーティングを
していたのですが。
ある日、
「常見くん、他になにかない?」
「あ、あの、高橋さん、雑誌で書評を担当しません?」
と持ちかけたのでした。
「常見くん・・・。面白ねぇ」と。
当時のOJTソリューションズには
神のような上司が二人おり。
企画部の高橋さんと、営業部の木村秀之さんで。
二人の神がかった仕事を至近距離で
出向期間の2年、見ることができたのは
人生における貴重な体験です。
あ、神のような上司2人の他、
仏のような上司もいて。
浅井司さんという方なのですが。
お世話になった間近で見た3人に限らず
私が接した神、仏たちの仕事ぶりについては
リクエストがあれば、どこかで書きますね。
高橋さんは、もういちいち書類も会議も完璧で。
そして、一見すると腰が低いものの、
あらゆる人たちに想いを伝え、
巻き込んでいく力が抜群でした。
京大ヨット部、理学部で類人猿研究、
赤い銀行出身で、MIT留学、NY勤務・・・。
人生経験豊富で、振れ幅が大きい人でした。
上司に書評を書いてもらうという
発想をした私もすごいのですし、
拾ってくれた治部さん、日経BP社もすごいですけど。
彼の書評が凄まじく面白く。
見開きで2400字くらいの文字数で、
1つのテーマで数冊紹介するのです。
その紹介する振れ幅が大で。いや、大胆で。
たとえば「事実」というテーマで
数冊紹介する場合、
ジャーナリストやメディア研究者が書いた本を
紹介しつつも、最初の1冊が
「デッサン」に関する本だったりするのです。
デッサンをする人は、
「事実」をどう捉えるかという話なんですよね。
たとえば、りんごをどのように捉えるか、と。
単純な赤ではないし、
Apple社のロゴみたいでもないだろう、と。
「書評」が「仕事」になった今でも、
彼のようなものが書けるのか、試行錯誤中です。
はい。
こんなふうにテーマを決めて数冊、
月に1回ご紹介します。
今回は高橋さんのような振れ幅ではなく、
「食」「新書」に絞って紹介しました。
あ、著者、編集者の皆様、御恵投
いつも感謝です。
メルマガなり、連載なり、SNSなりで
なんらかのかたちでご紹介したく思っています。
ただ、必ずご紹介するわけではありません。
すみません。
私、友人・知人の本を紹介する際は、
突然紹介します。
「次の◯◯でご紹介しますね」
なんてご挨拶は絶対しません。
評価するのは私ですし、
友人・知人の本だからではなく、
紹介するべき本だから書評を書くわけで。
で、今年は他の著者との
対談(可能であればイベント)の機会など
頂けると大変にありがたいです。はい。
その前に、お前が書けという話ですね。はい。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
皆さんからの人生相談メールを
お待ちしております。
件名に『人生相談』とご記入の上、
ペンネーム(実名も可)、
年齢(可能であれば)、
性別、相談内容をお送りください。
yoheitsunemi@gmail.comまで!
よろしくお願いします!
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
配信停止等はこちらのURLからお願いします
https://d.bmb.jp/9/1454/4501/XXXX
発行人:常見陽平
お問い合わせ先 E-Mail
yoheitsunemi@gmail.com
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